浄土真宗【正信偈を学ぶ】第1回_正信念仏偈とは

浄土真宗でよくおとなえされる「正信偈」(しょうしんげ)という聖典があります。今回から「正信偈の基礎を学ぶ」というシリーズをはじめたいと思います。

▼この内容は動画でもご覧いただけます

これまで、お寺やご法事などで「正信偈」をとなえたことがあるけれども、意味はよく分からないという方。浄土真宗のお寺とご縁があるので、浄土真宗の教えについて学んでみたいという方。また、仏教を学んでみたいけれども、どこから学んでいいのか分からないという方。そういう方におすすめの動画となっております。

この動画を見ていただくことで、「正信偈」にどんなことが書かれているのかがお分かりいただけるようになります。また、「正信偈」を通して、浄土真宗やお念仏の教えとはどういうものかにも触れていただけます。

シリーズものですので、通してみていただくことで、どんどん詳しくなっていただけるかと思います。初めてご覧いただく方にも、なるべく分かりやすい内容でお届けしていきます。

◆「正信偈」とは

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まず、「正信偈」とは正式には「正信念仏偈」(しょうしんねんぶつげ)と申します。「正信偈」といっても、「正信念仏偈」といっても、同じ意味となります。

「正信偈」は、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人(しんらんしょうにん/1173~1263)がおつくりになった偈(うた)です。偈ですから、となえることを前提にしてつくられています。

そして、お経もそうなのですが、「正信偈」にも意味があります。ただ、となえるだけでなく、そこに説かれている意味を知ることによって、心の重荷が軽くなっていく、心が安らかになっていく、救われていく。お経には、本来そういった願いや作用が込められているものです。

この「正信偈」も、親鸞聖人自らが、阿弥陀如来という仏様に救われた喜びや感謝の思いからつくられています。阿弥陀如来による救いの教え、お念仏の教えが説かれ、自分と同じくこの人生に悩み苦しむような人々にも、この教えに遇ってほしいという親鸞聖人の思いや、阿弥陀如来の願いが、「正信偈」には込められています。

阿弥陀如来とはどういう仏様か、お念仏とは何か。今回は、詳しくお話はしませんけれども、「正信偈の基礎を学ぶ」のシリーズの中で、一つ一つ丁寧にお話をさせていただきます。

◆「正信偈」の構成

次に、「正信偈」の構成についてお話をさせていただきます。

親鸞聖人の著書の中で代表的な書物として、『教行信証』(きょうぎょうしんしょう)という書物があります。この教行信証は、全6巻からなっているんですけれども、そのうちの一つ行巻(ぎょうかん)という巻があります。その行巻の末に書かれているのが、この「正信偈」となります。

そして、「正信偈」は、その意味から前半と後半部分に分かれております。前半部分は、依経段(えきょうだん)と言われる部分です。浄土真宗の根本の経典である『仏説無量寿経』というお経に依って説かれている部分なので、依経段と申し上げます。

後半部分は、依釈段(えしゃくだん)と申し上げます。親鸞聖人が特に大切された七人のお坊さんがおられます。七高僧(しちこうそう)と呼ばれますが、その七高僧が『仏説無量寿経』などのお経を解釈した書物を書かれています。そのお経を解釈した書物を論釈とも言い、論釈に依って説かれた部分ということで、依釈段と言います。

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繰り返すと、「正信偈」は意味からいうと、前半と後半部分に分けられ、前半部分は、『仏説無量寿経』というお経に依って説かれた依経段。後半は、七高僧によるお経の解説書である論釈に依って説かれた依釈段となります。

そして、「正信偈」自体は、親鸞聖人の主著である『教行信証』の行巻末に書かれています。「正信偈」は、このような構成となっております。

◆「正信偈」の普及

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この「正信偈」を日常からとなえるように制定したのは、本願寺の第八代宗主(しゅうしゅ)である蓮如上人(れんにょしょうにん)です。

蓮如上人が本願寺を改革し、お念仏の教えを全国に広めたことにより、浄土真宗が一大教団となりました。「正信偈」を日常からとなえるということも、お念仏の教えを広める一環としておこなわれたことと言えます。

蓮如上人は、「正信偈」と「和讃」(わさん)とをセットでとなえるという形をつくりました。「和讃」も親鸞聖人がつくられたうたです。「正信偈」も「和讃」もうたなので、口に出してとなえることを前提としてつくられています。

そこには、阿弥陀如来の救いや、お念仏の教えを身近に感じてほしいという親鸞聖人思いが込められており、その思いを蓮如上人が汲み取り、日常からとなえるという伝灯をつくりあげたものと言えます。

現在も、お寺や熱心なご門徒さんのお宅では、日常的に「正信偈」がとなえられています。それは、親鸞聖人や蓮如上人をはじめとした先人の智慧が、ここまで引き継がれてきたものと言えます。そしてそこには、日常からお念仏の教えに親しんでほしい、それが悩み苦しむ人々の救いとなってほしいという願いも込められていることでしょう。

是非、日常から「正信偈」をおとなえいただきつつ、またこうした解説動画などから「正信偈」の意味を知り、お念仏の教えを身近に感じていただけるような助けとなれば幸いです。

以前に、「正信偈」をご一緒におとなえいただけるという動画も用意しておりますので、是非そちらもご活用いただければと思います。

本日は、「正信偈の基礎を学ぶ」というシリーズの第一弾ということで、「正信偈」とは何か、「正信偈」の構成や、「正信偈」が日常からとなえられるようになった背景などについて、お話させていただきました。

次回以降も、「正信偈」のについて見ていきたいと思います。

このように信行寺では、「仏教やお寺をもっと身近に」というコンセプトのもと、動画やブログを配信しております。ご関心がある方は、是非チャンネル登録やSNSのフォローをお願い致します。また、コメントやグッドボタンもいただけますと幸いです。

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最後までご覧いただきありがとうございます。

合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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