【基礎から学ぶ浄土真宗】正信念仏偈の概要②

前回から、「正信念仏偈」(しょうしんねんぶつげ)の概要についてみています。

「正信念仏偈」は、となえるものとしては、浄土真宗で最も代表的なものです。

「正信念仏偈」を略して、「正信偈」(しょうしんげ)や「お正信偈」とも言われます。

前回は、「正信念仏偈」とは「どなたがつくったものか」や、「どのような思いでつくられたものか」、また「どのように広まっていったのか」などについてみていきました。

簡単にその内容を振り返ると、「正信念仏偈」をつくったのは、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人です。

そして、親鸞聖人が「正信偈」をつくられた理由について、二つ挙げました。

一つは、阿弥陀仏という仏様や、お念仏の教えを伝えてくださった方々への感謝や喜びの思いから「正信偈」をつくられたこと。

二つ目は、「正信偈」を「多くの人にとなえてほしい」「お念仏の教えが多くの人に伝わってほしい」という思いからつくられたということ。

大きく二つの理由を挙げました。

そして、「正信偈」が広まったのは、本願寺中興の祖である蓮如上人の功績によるところが大きいこともみていきました。

蓮如上人は、「正信偈」を日常的にとなえることを、本願寺にて制定しました。

それが末寺などにも伝わり、以来、時代を超えて多くの人が「正信偈」をとなえ、今もとなえられています。

では、その「正信偈」には、どのような内容が記されているのでしょうか。

今回は、「正信偈」の構成と内容について、ご紹介したいと思います。

▼動画でもご覧いただけます。

◆正信偈の構成

内容をみていく前に、まずは「正信偈」の構成についてみておきます。

「正信偈」は、大きく三つの段落に分かれています。

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一つ目の段落は、最初の「帰命無量寿如来 南無不可思議光」(きみょうむりょうじゅにょらい なもふかしぎこう)の二句です。

この二句は、「帰敬序」(ききょうじょ)と言われます。

帰敬とは、帰依し、敬うということです。

誰が誰に対して帰依し、敬っているかというと、親鸞聖人が阿弥陀仏に対してです。

「帰敬序」は、「私親鸞は阿弥陀仏に帰依します」と述べられている段落となります。

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二つ目の段落は、その後の「法蔵菩薩因位時」(ほうぞうぼさついんにじ)から、「難中之難無過斯」(なんちゅうしなんむかし)までです。

この段落を、「依経段」(えきょうだん)と言います。

「依経段」とは、お経に依って記された段落という意味です。

何のお経かというと、浄土真宗で根本のお経とされている『仏説無量寿経』(ぶっせつむりょうじゅきょう)です。

『仏説無量寿経』の内容に依って記された段落であることから、「依経段」と言います。

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三つ目の段落は、「印度西天之論家」(いんどさいてんしろんげ)から、最後の「唯可信斯高僧説」(ゆいかしんしこうそうせつ)までです。

この段落を、「依釈段」(えしゃくだん)と言います。

「依釈段」の「釈」とは、お経の解説書のことです。

何のお経の解説書かと言うと、ここでは親鸞聖人が尊敬をされた七人の僧侶の書物のことで、その中でも阿弥陀仏について記された書物のことをさしています。

親鸞聖人が尊敬をされた七人の僧侶のことを、「七高僧」(しちこうそう)とも言います。

その「七高僧」の記されたお経の解説書のことを、ここでは「釈」と言い、それに依って記された段落を「依釈段」と言います。

「依釈段」では、「七高僧」の名前が順に挙げられ、お念仏の教えの要点が記されています。

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このように、「正信偈」の構成は、「帰敬序」「依経段」「依釈段」という三つの段落で構成されています。

それでは、その三つの段落に記されている内容について、順にみていきます。

今回は、最初の「帰敬序」(ききょうじょ)について、みてみましょう。

◆帰敬序

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「帰敬序」は、「正信偈」冒頭の「帰命無量寿如来 南無不可思議光」(きみょうむりょうじゅにょらい なもふかしぎこう)の二句のことです。

この二句はどういう内容かというと、先程も申しましたが、「私親鸞は阿弥陀仏に帰依します」と述べられています。

親鸞聖人が「正信偈」をつくられた理由として、阿弥陀仏や、お念仏の教えを伝えてくださった方々への感謝や喜びの思いからつくられたことを挙げました。

その阿弥陀仏への感謝や喜びの思いを、最初に述べている部分が、この「帰命無量寿如来 南無不可思議光」の二句となります。

そして、前回も申しましたが、「正信偈」は七言一句(しちごんいっく)と言って、漢字7文字で一つの句が構成されています。

こうした文字数が統一された形式のものを、「偈頌」(げじゅ)とも言います。

「偈頌」の冒頭では、阿弥陀仏やお釈迦様などの仏様に、感謝や敬いの心を述べることが多いです。

「正信偈」冒頭のこの二句も、そうした前例にならい、「私親鸞は阿弥陀仏に帰依します」と、感謝や喜びの心を表現した部分となります。

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「帰命無量寿如来」の「帰命」という言葉は、「帰依する」「信じ敬う」という意味の言葉です。

そして「無量寿如来」とは、阿弥陀仏の別のよび方です。

ですので、「帰命無量寿如来」という言葉の意味は、「私親鸞は阿弥陀仏に帰依します」という意味になります。

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二句目の「南無不可思議光」の「南無」という言葉も、「帰依する」「信じ敬う」という意味の言葉です。

先程の「帰命」という言葉と、同じ意味の言葉となります。

「不可思議光」とは、後ろに「如来」という言葉が省略されていて、本当は「不可思議光如来」のことです。

この「不可思議光如来」も、阿弥陀仏の別のよび方です。

ですので、「南無不可思議光」という言葉の意味も、「私親鸞は阿弥陀仏に帰依します」という意味になります。

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ちなみに、「帰命無量寿如来 南無不可思議光」という言葉は、「南無阿弥陀仏」というお念仏と同じ意味の言葉です。

このように、「正信偈」冒頭の帰敬序では、「帰命無量寿如来 南無不可思議光」と、同じ意味の言葉を繰り返し、阿弥陀仏への感謝や喜びの心を表現しています。

いかがだったでしょうか。

今回は、「正信偈」の構成と、「帰敬序」の内容についてみていきました。

次回は、「依経段」以降の内容について、みていこうと思います。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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