皆様、ようこそお参りくださいました。福岡県糟屋郡宇美町にある信行寺の神崎修生と申します。今回は、お念珠(数珠)について、お話をさせていただきます。

▼動画でもご覧いただけます

このようなご質問をいただきました。

いつも拝見しています!お念珠について解説していただきたいです。
私も本願寺正式の紐房の念珠を持っているのですが、母にも買ってあげたいと思っています!
男女で差があるのか、またネットを見ていると日蓮宗の方が持ってらっしゃるような長いものも浄土真宗用となっている場合もあります!
そのあたりを教えていただきたいです。

このようなご質問をいただきました。いつも見ていただいて、ありがとうございます。

結論から言うと、お母さま用のお念珠は、女性用の単輪念珠(ひとわねんじゅ)、輪が一重のお念珠を差し上げると良いかと思います。珠の種類、価格などは、まちまちになりますので、お好みで、これが良いと思うものを手にされると良いです。

お母様へのプレゼントということですので、お母様もずっと大切にされていくものでしょうから、できる範囲の中で少し良いものをお渡しなさると良いかもしれませんね。ご質問ありがとうございます。

さてこの後、お念珠について、特にお念珠とは何かや、お念珠の種類や作法などについて、もう少し詳しくお話していきます。この内容は、浄土真宗本願寺派(ご本山は西本願寺)のものとなります。

◆お念珠(数珠)とは

お念珠とは何かですが、木の実や宝石、金属などの珠を紐で通して輪にしたものです。仏様や、先に往かれた大切な方に手を合わせるような時に用います。

お通夜や、ご葬儀、ご法事の際だけでなく、日ごろお仏壇で手を合わせる際や、お寺にお参りする際、お墓にお参りする際など、手を合わせる時には持っておかれたほうが良いものですお参りする際に、お念珠を身に付けることは、大切なたしなみの一つとされています。

浄土真宗の第八代宗主 蓮如上人という方は、「お念珠を持たないのは、仏様を手づかみにするようなものである」とおっしゃっています。

数珠(じゅず)の一連(いちれん)をももつひとなし。さるほどに仏をば手づかみにこそせられたり。『御文章』

我々も、そうしたお言葉を受け止め、お参りする際、手を合わせる際には、お念珠を持つことを習慣にされると良いかと思います。そして、お子様用のお念珠もありますので、ご家族で一つのお念珠ということでなく、できるだけお一人お一人がお念珠を持たれると良いかと思います。

お念珠は大切なものですから、投げたり床に直接置いたりせず、机の上に置くなど、丁寧に取り扱うように致しましょう。

お念珠は、一般的には数珠(じゅず)と言われることが多いです。宗派によっては、南無阿弥陀仏とお念仏を称える時に、数を数えるために使用されることもあることから、数を数える珠、数珠という名前になったのではないかと言われています。

ですが、浄土真宗においては、お念仏を称える数を問題としないので、数を数えるために用いることはありません。そのため、数珠と言わず、念珠という言い方になったのではないかと言われています。

数珠は、もともとインドでの初期の仏教徒においては、持たなかったようです。

ですが、仏様を礼拝する時の大切な法具として、仏教の中で徐々に位置付けられていったようです。浄土真宗の宗祖 親鸞聖人や、その師である浄土宗の開祖 法然聖人の絵像を見ると、お念珠を手に持っておられます。

日本では、お念珠を持つことは、今ではお参りの際、手を合わせる際のたしなみとされ、普及しています。ですので、日ごろから手を合わせる際には、お念珠を身に付けることを習慣化されると良いかと思います。

ちなみに、数珠の珠の数は、もともとは煩悩の数とされる108だったのでしょうが、現在の本願寺派においては、特に規定されていません。珠の大きさによって、数はまちまちです。

◆お念珠の種類

次に、お念珠の種類ですが、男性、女性ともに、単輪念珠(ひとわねんじゅ)、単念珠(たんねんじゅ)とも言いますが、輪が一重のものが一般的です。

本願寺のお経や作法について指導する勤式指導所によると、お念珠の珠の数や結び方に決まりはないそうです。

男性は、単輪念珠の紐房(ひもふさ)という、房が紐のものが多く用いられています。

一例ですが、男性用の単輪念珠の写真を載せておきます。色や玉の種類など、様々なものがあります。

女性は、単輪念珠と二輪念珠(ふたわねんじゅ)とがあります。こちらも一例ですが、女性用の単輪念珠の写真を載せておきます。

二輪念珠とは、写真にはありませんが、輪が二重になっているお念珠のことです。

日常的に使うのは単輪念珠です。ですので、まず購入されるとすれば、男性女性ともに、単輪念珠から手にされると良いでしょう。ご葬儀やご法事では、女性は二輪念珠(ふたわねんじゅ)を使用される場合もありますが、単輪念珠でも問題はないと言いますので、やはりまず単輪念珠から手にされると良いと思います。

男性でも僧侶の場合は、二輪念珠をよく使用致しますが、こちらは僧侶用となります。ご質問で、男性用でも二輪の(長い)お念珠があると書いておられましたが、僧侶でなければ基本的には単輪念珠になります。

お念珠の珠の種類は、菩提樹や黒檀(こくたん)、紫檀(したん)といった樹や、琥珀(こはく)、翡翠(ひすい)、水晶、瑪瑙(めのう)といった宝石などがあります。珠の種類や価格はまちまちですので、ご覧になってみて、これが良いと思われるものを手にされると良いでしょう。

ちなみに信行寺では、京都の福永念珠舗さんや、ぜにやさんなどから取り寄せることが多いです。

ご参考になさってみてください。

▼福永念珠舗

https://www.juzz.net/

▼ぜにや

http://zeniya.jp/

◆式章や入れ物

次に式章(しきしょう)についてもお話します。

お寺での法要という仏教行事にお参りされる際や、ご法事の際などでは、お念珠と併せて、式章も身に付けると良いでしょう。

式章とは、首から下げて着用するものです。特に門徒(もんと)という、お寺とご縁がある方が身に付ける場合が多いです。

多くの式章に、本願寺でよく使用される下がり藤(さがりふじ)の紋が入っています。首のところにある下がり藤の紋が上下逆にならないように着用致します。

(式章のかけ方は、動画をご覧ください)

色は様々な種類がありますので、お好きなものを選んでいただいて構いません。

お寺によっては、総代会や仏教婦人会の役員で、統一した式章を用いられている場合もあります。現在、どちらかのお寺様とご縁があられる方は、お寺様に式章を購入したいのですが、どうすれば良いでしょうかとご相談なさってみても良いかと思います。

また、お念珠の入れ物や、式章入れ、またそれらとお経本とをまとめて入れられる入れ物もございます。お寺にお参りされる際、ご法事の際など、持ち運びにも便利ですので、必要な場合は、入れ物も手にされると良いかと思います。

◆お子様用のお念珠、式章

また、お子様用のお念珠や式章もございます。一例ですが、このようなものがあります。

お念珠などは、お一人お一人が持つものですので、お子様用のものも、手にされると良いかと思います。

ちなみに信行寺では、信行寺とご縁がある方向けの初参式(しょさんしき)や、小学校入学祝をおこなっており、その際に、お念珠や式章を、お子様にプレゼントさせていただいております。

◆合掌礼拝の仕方、お念珠の持ち方

最後に、合掌やお念珠の持ち方についてもお話します。

合掌礼拝の作法は、宗派によってまちまちです。本願寺派では、合掌の時は両手の人差し指から小指までをお念珠の中に通し、親指で軽くおさえます。

両肘をはらず、胸の前で両手を合わせます。手の角度は、状態に対して45度程度と言われます。指は伸ばし、指の間があかないように、閉じて揃えます。

お念珠は、房(ふさ)の部分が下にくるようにします。

そして、南無阿弥陀仏(なまんだぶ・なまんだぶつ)とお念仏を数回となえ、礼拝(らいはい/45度程度の一礼)をします。

これが合掌礼拝の作法です。本願寺派では、お念珠をこすり合わせたりはしません。

合掌の時以外は、お念珠は左手に持ちます。お経を読む時も、左手で持ちます。

合掌礼拝の一連の作法についてや、お焼香の作法について、以前に詳しく解説しておりますので、ご関心がある方は、そちらもご覧になってみてください。

▼浄土真宗のお線香のお供えの仕方、お線香の本数、合掌の仕方、数珠の持ち方

https://shingyoji.jp/posts/etiquette/2107/

▼【お焼香の仕方】作法やマナー、回数を解説します

https://shingyoji.jp/posts/etiquette/2055/

いかがだったでしょうか。

今回は、お念珠について、特にお念珠とは何かや、お念珠の種類などについてお話させていただきました。

このように信行寺では、「仏教やお寺をもっと身近に」「仏教で心豊かな人生を」というコンセプトのもと、動画やブログを配信しております。ご関心がある方は、チャンネル登録やSNSのフォローをいただけますと幸いです。

また、いいねやコメントもいただけますと、今後の参考にさせていただきます。本日もようこそお参りくださいました。

参考文献:
・『浄土真宗辞典』浄土真宗本願寺派総合研究所
・『浄土真宗必携 み教えと歩む』浄土真宗必携編集委員会
・勤式指導所HP
・『僧侶必携』僧侶必携編集委員会
・『浄土真宗本願寺派 勤行必携』経谷芳隆
・『浄土真宗のお仏壇』仏教文化研究会

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最後までご覧いただきありがとうございます。合掌

福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)

神崎修生

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