皆様、仏様(お仏壇)の前で合掌礼拝(がっしょうらいはい)をする一連の作法をご存じでしょうか?
お線香のお供えの仕方、お線香の本数、合掌の仕方、お念珠(数珠)の使い方など、よく分からないことも多いですよね。
手を合わせること自体が大切、手を合わせる思いが大切ということも言えますが、行為と思いと形とは別物ではないので、行為と思いに加え、きちんとした形が伴えばさらに思いも深まることでしょう。
そこで今回は、「お線香のお供えの仕方や本数」「合掌の仕方」「お念珠(数珠)の使い方」など、仏様の前(お仏壇の前)で合掌礼拝をする一連の作法について解説致します。
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これをご覧いただくと、作法がきちんと整い、仏様や先に往かれた方への思いも深まることではないかと思います。
加えて、お花の水換えやお供え物のことについても、簡単に解説します。
是非、最後までご覧ください。
(今回ご紹介する仏事作法の内容は、浄土真宗本願寺派(西本願寺)のものです)
◆お線香のお供えの仕方、お線香の本数
まずは、説明が必要な部分を先に解説して、その後にまとめて合掌礼拝の一連の作法を解説します。
「お線香のお供えの仕方」ですが、浄土真宗本願寺派では、香炉の中に横にねせてお供えするのが特徴です。
立てるようにお供えはしませんので、お気を付けください。
お供えする「お線香の本数」は、正式な決まりはありません。
例えば、お線香を折らずにそのまま入るような大きな(横長い)香炉の場合は、お線香を折らずに1、2本お供えいただくと良いでしょう。
お線香を折ってしか入らないようなサイズの香炉の場合は、1本のお線香を半分に折って2本にしてお供えするか、3等分に折って3本にしてお供えすると良いでしょう。
このように、お線香は香炉のサイズに合わせた長さのものを、1~3本の間でお供えいただければ良いかと思います。
お線香の香りは、部屋の中を清めるためとも、ご本尊である阿弥陀如来の隅々までいきわたる慈悲の心をあらわしているともいわれます。
ですから、もくもくと煙たくなるほど多くのお線香をお供えする必要はなく、程よくお供えするのが良いでしょう。
◆合掌の仕方、お念珠(数珠)の使い方
次に「合掌の仕方」「お念珠の使い方」について、解説致します。
合掌の作法も、お念珠(数珠)の用い方も宗派によってまちまちです。
浄土真宗本願寺派では、お念珠は房が常に下にくるようにします。
合掌の時以外は、お念珠は左手に持ちます。合掌の時は両手の人差し指から小指までをお念珠の中に通し、親指で軽くおさえます。
お念珠をこすり合わせたりはしません。
合掌の仕方ですが、両肘をはらず、胸の前で両手を合わせます。手の角度は、状態に対して45度程度です。
指は伸ばし、指の間があかないように、閉じて揃えます。
お念珠は、房(ふさ)の部分が下にくるようにします。
南無阿弥陀仏(なまんだぶ・なまんだぶつ)と数回となえ、礼拝(らいはい/45度程度の一礼)をします。
合掌をときます。
◆合掌礼拝の一連の作法
それでは、日ごろ仏様(お仏壇)の前で合掌礼拝をする一連の作法を解説します。
・仏様の前に座り、一礼をします。
ここでの一礼は、合掌をする必要はありません。
・ロウソクに火をつけます。
・お線香をロウソクにかざし火をつけ、香炉に横にねせてお供えします。
・合掌し、南無阿弥陀仏とお念仏をとなえます。
お念仏は、「なまんだぶ」や「なまんだぶつ」と6~10回程度となえるのが自然なようです。
・礼拝(らいはい/45度程度の一礼)をします。
(・お経をとなえる場合は、ここでとなえます)
・ロウソクの火を消します。
・最後に一礼をします。
これが、仏前での合掌礼拝の一連の作法になります。
(お寺では、先にロウソクに火をつけ、お線香をお供えしてから、一連の作法に入りますが、こちらではご家庭において実用的な順番でお伝えをしています)
ちなみに鈴(りん)ですが、本願寺派ではお経をとなえない場合はならしません。
ならしてはいけないということではありませんが、正式には合掌礼拝の作法の中ではならすという決まりはありません。
お経は、毎日となえておられる方もおられます。最初は毎日でなくても、お時間がある時や、大切な方の月命日などにおとなえしてみてください。
仏様に手を合わせることは、できるだけ習慣にされると良いでしょう。
仏様に手を合わせることは、生かされていることへの感謝の意味合いがありますし、とても心安らぐものです。
また仏様には、朝と晩に手を合わされる方が多いです。ですが、現代は慌ただしい方も多いでしょうから、時間にこだわらず、ご自身が少し落ち着いて手を合わせることのできる時間を選ばれると良いでしょう。
◆合掌礼拝の前におこなうこと
合掌礼拝の前におこなうことについて、補足解説します。
合掌礼拝の前には、お仏壇の掃除をし、お花や樒(青木)の水を換え、お仏飯をお供えします。
お仏壇の掃除は、乾いた布などで優しく拭き、埃をとります。
お花の水は注ぎ足すよりも、水を捨ててから新しく入れ替えたほうが、お花が長持ちします。また、水に延命剤を入れると、お花がさらに長持ちします。
華瓶(けびょう)には、お水を入れて、樒(しきみ)などの青木を挿しお供えします。
樒は、水を浄化して香りが良くなる木だと言われます。
この樒で浄化された水のことを香水(こうずい)と言い、仏様の国であるお浄土の水の美しさ、香り高さを現わしているといわれます。
お茶やお水を湯飲みに入れてお供えされる方もおられるかもしれませんが、正式には本願寺派では、華瓶の中にお水を入れて、香水としてお供えします。
お供え物に関してですが、平常時はお仏飯をお供えいただければ結構です。
お仏飯とは、仏様にお供えするご飯のことで、仏飯器(ぶっぱんき)という器に丸く盛ります。
お仏壇中央上段の阿弥陀如来という仏様(ご本尊)の前にお供えします。
仏飯器が四つある方は、中央のご本尊 阿弥陀如来に二つ、向かって右側の親鸞聖人の掛け軸の前、左側の蓮如上人の掛け軸の前に、それぞれ一つずつお仏飯をお供えします。
仏飯器が三つある方は、阿弥陀如来、親鸞聖人、蓮如上人の前にそれぞれ一つずつお供えします。
仏飯器が二つある方は阿弥陀如来の前に二つ、お仏飯器が一つの方は阿弥陀如来の前に一つお供えします。
お仏壇はサイズが様々あるため、一様に言えない部分があり、状況に応じて適宜お供えやお飾りをすることになります。
お仏飯は、仏様に手を合わせる前にお供えし、手を合わせ終わったら下げます。
たまにお仏飯をお供えしたままにして、ご飯がカピカピになっているところを見かけますが、我々のいのちが育まれていることへの感謝の思いからお供えするものですので、手を合わせ終わったら下げ、できるだけお仏飯は食事として召し上がってください。
お供え物ですが、お仏飯以外にもお餅やお菓子、果物などをお供えされるとより丁寧ではありますが、平常時はお仏飯だけでも構いません。
ご命日やご法事の時、お盆やお彼岸などには、お餅やお菓子、果物などをお供えされると良いでしょう。
▼お供え物の仕方やお仏壇のお飾りの仕方について、さらに詳しくはこちらをご覧ください。
お仏壇の飾り方
https://shingyoji.jp/posts/etiquette/676/
お盆のお飾りの仕方
https://shingyoji.jp/posts/etiquette/679/
今回は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございます。
合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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