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(このお話は、お寺から健康習慣を発信する「ヘルシーテンプル@オンライン」にてお話したものです)
改めて皆様、本日もようこそお参りくださいました。「ヘルシーテンプル@オンライン」全国版ですね。本日も、170名の方にご参加をいただいております。いつもありがとうございます。
私はいつも、「幸せを育む法話の時間」ということで、ご参加の皆様と法話を通して、人生や幸せについて考えさせていただいております。今日は、「大切な方との死別によって起こる感情の受けとめ方」について、考えてみたいと思います。
さて、我々は生きている中で、大切な方との死別を経験することがあります。大切な方との死別によって起こる感情は様々です。お互いの関係性や、お別れの仕方、自分の状態などによっても感じ方は変わり、一様ではありません。
怒りや悲しみはもとより、介護が長いような時には安堵の思いさえ、感じることもあります。そして、こうして起こってくる様々な感情は自然なものであり、おかしなものではないと言われます。人と比べるものでもないし、こうあらねばならないというものでもありません。ですから、自分が感じるままに、大切に感じてみることからはじめてみるのがいいのではないか。
そのようなお話を、リヴオンさんという団体の取り組みを通して、前回の「ヘルシーテンプル」の私の担当回の時にお話をさせていただきました。リヴオンさんでは、数年前から、喪失による感情のケアの大切さを世に広める活動をしたり、僧侶のためのグリーフケア連続講座を開催をされています。グリーフケアというと、ここでは特に、大切な方を失った方の感情などのサポートというような意味になります。
私も、過去に代表の尾角光美(おかくてるみ)さんの講演を伺ったり、知り合いの多くのお坊さんが、グリーフケアの講座を受講されたりして、その活動を身近に感じ、学ばせていただいています。リヴオンさんは、「大切な人をなくした人のための権利条約」というものをホームページで紹介されています。
これは何かと言うと、「死別によって起こる自分自身の感情をどう受けとめたらいいのか」という感情の受けとめ方ことについて、言語化されているように私は思います。
そのリヴオンさんが紹介されている「大切な人をなくした人のための権利条約」というものですが、第七条まで、ホームページに記載してありますので、紹介をさせていただこうと思います。
第1条 悲しんでもいい 落ち込んでもいい
「がんばらないと」「心配かけてはいけない」と気丈にふるまっているかもしれません。でも時に自分の心の奥にある声に耳を傾けてみてください。悲しいときは悲しみ、落ちこむことがあっても自然なことです。
第2条 自分を許してもいい
「わたしが悪かったんだ」と自分を責めてどうしようもないとき、「どうにもできないことがあったんだ」ということを認めてもよいのです。自分を責めるのは、あなたにとって、その人の存在がそれほどまでに大事だった証です。
第3条 考えない、思い出さないときもいい
死を直視しないのもまた自由です。辛いから考えたくない、思い出したくない。そんな時は、いま自分が打ち込めることに力をそそげばよいのです。考えられるとき、思い出したいときに、そうすればよいのです。 亡くなった人はそんなあなたを責めないでしょうから。
第4条 自分を大切に
「みんな大変だから」と思い、我慢をすることも尊いことです。でも自分がつぶれてしまうほどの我慢はどうでしょうか。大切なのはあなたが、あなたらしく生きてゆけること。自分を大切にすることに許しを与えてもよいのです。
第5条 助けてもらうこと
「お互いさま」。だれもがいつかは大切な人をなくし、苦しいときがあります。だからいま、辛いのなら、支えてもらってもよいのです。そして今度は、誰かにその恩を返したり、送ればよいのです。「助けて」は悪いことではありません。
第6条 みんなちがって、それぞれにいい
同じことを前にしても、感じ方はちがいます。人それぞれであるということ。どちらが重たくて、どちらが軽いということは本当はありません。ただ「そう感じている」ということが真実なのです。感じるままに。ちがいをちがいのままに。
第7条 自分の人生を歩んでいい
自分の人生を生きること。たのしい時間をもつこと。時に亡くした人を忘れていること。それは亡くした人を置いていくことではありません。喪失した相手の存在とともに、あなたの人生を歩んでいくことはきっとできます。
このような言葉が綴ってあるのが、「大切な人をなくした人のための権利条約」です。皆さんはどの言葉が、好きでしょうか。心にぐっときた言葉はあったでしょうか。
我々は、大切な人と別れていく中で、様々な感情を抱きます。そのどんな感情も、おかしなものではありませんよ。怒りも、悲しみも、時に安堵さえも失ったときに感じることは自然なものですよ。別れから起こる自分の感情や反応を、おかしなものではないと受けとめていいんだ。自分が感じるままに、大切にしてみようと思える。そのような言葉の数々が、「大切な人をなくした人のための権利条約」として、綴ってあります。
こちらは、リヴオンさんのホームページにて、PDFデータでダウンロードできるようにもなっています。
宜しければ印刷していただいて、お手元に置いておかれたり、お仏壇のところに置いておかれたりすると良いのではないでしょうか。優しい言葉が、心に温もりを与えてくれることではないかと思います。
「幸せを育む法話の時間」ということで、本日は、「大切な方との死別によって起こる感情の受けとめ方」について、お話させていただきました。
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最後までご覧いただきありがとうございます。合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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