先祖をたずね、良き先祖となる【仏教ひとくち法話】第024回

(2021年4月28日 オンライン朝会での法話)

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改めて皆様、本日もようこそお参りくださいました。「ヘルシーテンプル@オンライン」信行寺版ですね。本日も、ご参加をいただき、ありがとうございます。

「幸せを育む法話の時間」ということで、ご参加者の皆様と法話を通して、人生や幸せについて考えております。本日のテーマは、「先祖をたずね、子孫に遺す」というテーマで、お話をさせていただきます。

◆幸せとは何か

日常生活の中で、人生について、改まって考えるということは、あまりないかもしれません。もともとよく考えるタイプの方であったり、病気や歳を重ねて死期を感じる時であったり、身近な人を亡くしたり、そういう場合には、人生について考えることはあるかとは思いますが、普段から考えるということは少ないように感じます。

それよりも、我々の関心としては、今度の休みの日は何をしようかとか、今晩の食事は何を食べようかとか、そういうことのほうに我々は関心を抱きやすいようです。

しかし、よくよく自分の心を観察してみると、実はこのような疑問や願いを抱いてはいないでしょうか。

・人生、どこに向かって歩んでいるのだろうか。
・幸せとは何か。
・穏やかで、幸せを感じるような人生を生きたい。

心を表面を覆っている感情をはぎとって、心の奥底の素直な感情を見つめてみると、多くの人が、実はこのような疑問や願いを持っているのではないでしょうか。

そして、こうした思いは、人生においてとても重要なものだと思います。ですから、人生についてじっくりと考えてみる時間をもつことは、大事なことだと思います。

◆自分を満たそうと生きている

考えてみてください。我々は、いつも自分を満そう、満たそうとして、日々を生きているのではないでしょうか。

今度の休みの日は何をしようかとか、今晩の食事は何を食べようかとか。あれがほしい、これがほしい。ああしたい、こうしたい。自分はこう見られたい、、、。

考えてみれば、我々はいつも自分を満たそうとして、日々を生きているのではないでしょうか。また逆に、今あるものを失いたくないと思って、生きているのではないでしょうか。

年は取りたくない。綺麗でいたい。健康でいたい。自分はこうはなりたくないとか。

我々は、人生について、改まって考えることは中々ないんですけれども、でも実は、日々、自分を満たそうと思って、こうありたいと願って、我々は懸命に生きているのかもしません。

だからこそ、その根本となる人生について、考えてみることは、とても大事なことのように思われます。

◆人生について考える時間を取る

この人生は、どこに向かって歩んでいるのだろうか。幸せとは何か。

このように、人生について考える時間を、少しでもとってみてはどうかというのが、今日お伝えしたいことの一つです。

我々は、人生について、改まって考えることは中々ないながら、でも実は、こうありたいと願って、日々懸命に生きています。しかし、何かを掴もうとはするけれども、自分を満たしていくものが何なのか、どうしたら幸せと感じるのか、人生をどういう方向に歩んでいけばいいのか、それがよく分からずに悩み、迷い、葛藤している場合も多いように思われます。

ですから、すぐには結論は見えないかもしれませんが、少しでも人生について考えてみてはいかがでしょうか。

例えば、この人の言っていることは、人生を歩む上で、とても大事なことのように思われるとか。また、この人の生き方にあこがれるとか、こんな人になりたいとか。そういう方はおられるでしょうか。こうした方の、言葉や生き方が、人生の道しるべとなるかもしれません。

ちなみに、私にとっては、それがお釈迦様であり、親鸞聖人でもありました。ですので、前職をやめて、僧侶になりました。

また他にも、自分はどんな時に深い喜びを感じるのだろうかとか。人に喜んでもらえた時は、自分も嬉しいなとか。では、なぜそんなことを思うのだろうとか。

心の表面を覆っている感情をはぎ取って、心の奥底の素直な感情、素朴な感情に目を向けてみることで、人生にとって大切な気付きがあるかもしれません。

漠然とでも良いので、人生を見据えながら日々を過ごすことで、人生の質が変わってくることと思います。

◆自分の範囲だけで考えない

そして、もう一つお伝えしたかったのは、人生について考えていく時に、自分の範囲だけで考えないようにしたいということです。

人生、どこに向かって歩んでいるのだろうか。幸せとは何か。こうした人生について考えていく時に、普通は自分の中だけで考えてしまいがちです。

でも実際は、この自分の人生というものは、自分だけで完結していない、大きな広がりをもったものです。その一つが先祖でしょう。

先祖がいなければ今の自分はいませんし、また血がつながっていない方も含め、先人がいなければ、今がありません。

私という人間は、どういう人たちに囲まれて育ち、どんな地域で、どういった教育を受け、どういうものを食べて育ったのか。自分に近いところでいえば、そういうことも、私の人格形成や価値観、生き方に大きく影響を及ぼしてきたことでしょう。

そして先祖、先人方は、どういうものを大切にして、何を育み、次世代に何を遺そうとしてきたのか。後世の今を生きる我々に、何を大切にしてほしいと願ってきたのか。

そうした先祖、先人の思いや生き方をたずねていくことが、自分について、人生について考える上で、とても大切なことのように思われるのです。

そうすることで、この人生が自分だけで完結していない、大きな広がりをもって見えてくるように思います。

そして、先祖だけでなく、子孫についてもそうです。自分の人生だけであれば、自分が良ければ良いと思ってしまいがちですが、自分の子や孫、次の時代を生きる子ども達に、どんなものを遺していくか。これもとても大切なことのように思います。

先祖をたずね、子孫に大切なものを遺していく。そうして、自らも良き先祖であろうとすることで、人生が広がりをもち、人生の方向性や、幸せの捉え方が随分と変わってくるはずです。

◆現代の構造的課題

最後に、なぜ今回、先祖や子孫という話をしたかについて、今感じていることをお話させていただきます。

核家族化や、地域のつながりが希薄になってから、もう数十年がたちました。それによって、昔からの物語が途切れ、自分が生まれてきた意味が非常に見えづらくなっています。

技術革新が進み、とても便利な世の中になり、個人が自由に生きやすい世の中になりました。しかし、そうであるがゆえに、個人がどう生きるかということに強い意識が向くようになり、今が良ければ良いと考えがちな社会構造になっています。

人生の良き先導者が身近にいない、非常に孤独で、どこに向かって歩んでいいのかが分からない。そうした時代に入っているように感じます。

そして、資本主義社会の中、お金、評価、欲望といった、とても分かりやすくて見えやすいものに価値があるとする考え方が中心になっています。そして、その人生ゲームにどっぷりとはまりこんで、抜け出せなくなってしまっています。

我々は、いったん正気を取り戻す必要があります。幸せとは何なのか、人生で本当に大切なものは何なのかと、それぞれ真剣に考える必要があるように思います。

そして、人生について考える時に、先祖の思いをたずね、子孫に大切なものを遺していく。良き先祖であろうとする。そう考えることで、自分が開けてきて、大きないのちを生きているという視野で、人生について考えることができるように思います。

「幸せを育む法話の時間」ということで、本日は「先祖をたずね、子孫に遺す」というテーマで、お話をさせていただきました。

この後、皆様と共に、対話を通して、味わいを深めてまいりたいと思います。

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最後までご覧いただきありがとうございます。合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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