今お寺に求められていること|納骨堂・永代供養・終活講座【信行寺の取り組み・仏事編】

今回は、「ご縁を喜んでいただけるお寺を目指して」というテーマで、信行寺での取り組みについてご紹介をさせていただこうと思います。

近年、お寺を取り巻く環境も大きく変化しています。

今後、お寺をどのように運営していったらよいだろうか。

そのように考えておられる寺院関係者の方も、多くなっています。

信行寺でも、時代の変化に対応しながら、さまざまな取り組みを行っていますが、その取り組みについて、各地のお寺の方や信徒の方からご関心をお寄せいただき、お声がけをいただいてお話をする機会も増えています。

先日もお話をさせていただく機会がありましたので、その時の内容をこちらのブログでもご紹介をさせていただこうと思います。

この内容が、お寺を身近に感じていただいたり、何か少しでも参考になるようでしたら嬉しく思います。

はじめに、お寺を取り巻く環境の変化について触れ、その後、信行寺の取り組みをご紹介してまいります。

内容が多くなりますので、何回かに分けてお話させていただきます。

▼この内容は動画でもご覧いただけます

◆お寺を取り巻く環境の変化

さて現在、お寺は時代の変化の中にありますが、いったいどのような変化に直面しているでしょうか。

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近年、特に顕著なのが、「ご葬儀のあり方の変化」です。

これまでのように、臨終勤行(枕経)・通夜・葬儀・初七日と丁寧におこなう形から、一日葬や、初七日を葬儀とあわせておこなうなど、簡素な形を希望されるケースも出てきました。

さらに、あとをみる方がいないという理由から、いわゆる「永代供養」を希望される方も増えています。

お子様がいない、お子様はいるが結婚していない、遠方におられるなど、家族のあり方が変化する中で、「後を誰がみてくれるのか」という不安を抱える方が増えてきています。

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さらに、お寺を支えてくださる「門信徒の減少」も大きな課題です。

特に地方では、お寺の運営そのものが難しくなるケースや、後継者不足の問題も現実のものとなっています。

また、仏教や仏事とのご縁が薄れる「仏縁の希薄化」も進んでいます。

その結果として、参詣者の減少や、葬儀・法事・納骨といった仏事の簡素化も見られるようになりました。

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これらの背景には、少子高齢化や単身化、核家族化、移動型社会化、共働き世帯の増加、価値観の変化といった「社会の変化」があります。

こうした流れそのものを止めることはできません。

では、その中で私たちは何ができるのでしょうか。

お寺に関わる私たちにできることは、

「これからのお寺はどうあるべきか」
「お寺は何を大切にしていくのか」

これらを考え続け、行動していくことではないでしょうか。

それは言い換えれば、「今の時代に、お寺や仏教は何を求められているのか」を考え、行動していくことです。

そしてその際には、「お寺や仏教、浄土真宗の教え、仏事などの中にある本質的な価値や魅力」を、あらためて考えることも大切です。

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信行寺では、まさにこの点を大切にしながら、「現代の人々がお寺に求めていること」と「お寺や仏教の本来の価値」とを重ね合わせ、「現代に適した形へとお寺を再構築(リニューアル)」しています。

◆自己紹介

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信行寺の取り組みをお話する前に、なぜそうした取り組みをしているのか、その背景が分かるように、少し自己紹介をさせていただきます。

私は、神崎修生と申します。

福岡県宇美町の信行寺にて、住職後継者として勤めており、来年(2027年)4月に住職を継職する予定です。

現在43歳で、信行寺で勤めて13年目になります。

実は私は、お寺の生まれではありません。

中学生の時に、家族で信行寺に入ることになり、突然「後継ぎさん」と言われるようになりました。

しかし当時の私は、

「何も学んでいない自分が継いでいいのか」
「もっと立派な方がお寺を継ぐべきではないか」

そんな葛藤があり、お寺の道ではなく、好きだった音楽の道へ進みました。

音楽活動をしたり、音楽の専門学校で教職員として働くなど、別の道を歩んでいました。

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しかし28歳の時、自分の中に仏教の価値観が息づいていることを感じ、「もっと仏教を学んでみたい」と思うようになりました。

そして、信行寺へ戻ることを前提に、「中央仏教学院」「龍谷大学大学院」で仏教を学んだ後、31歳の時に本格的にお寺へ戻りました。

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信行寺に戻ってからは、「これからのお寺はどうあるべきか」を考えるために、外の世界にも積極的に学びに行きました。

全国の様々な宗派の僧侶・寺族が集まる「未来の住職塾」で学んだり、様々な業界のビジネスパーソンが集まる「グロービス経営大学院」にてMBA(経営学)なども学びました。

宗派や業界を超えた視点から、「これからのお寺はどうあるべきか」を体系的に考える機会をいただきました。

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また現在は、僧侶の仲間とともに、宗派を超えて学び合う場として、「Bラーニング」という勉強会も開催しています。

オンラインや現地での開催を通じて、のべ数百名の寺院関係者の方々にご参加をいただいています。

お寺は、宗派間のつながりはありますが、それぞれが独立した宗教法人です。

お寺を取り巻く環境が変化する中で、様々な先行事例を学び合い、情報交換をしながら、「これからのお寺はどうあるべきか」をそれぞれに考えていく場が有用だと思い、こうした勉強会を開催しています。

このような宗派や業界を超えた学びや経験、つながりが、現在の信行寺の取り組みにつながっています。

◆信行寺の理念(目標)

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それでは、信行寺の取り組みについてお話してまいります。

まず、信行寺で大切にしている理念ですが、「ご縁を喜んでいただけるお寺でありたい」という一言に尽きます。

仏様とのご縁、仏教とのご縁、お寺とのご縁、さらにはお寺で出会う人と人とのご縁など、さまざまなご縁があります。

信行寺では、そうした一つひとつのご縁を喜んでいただけるお寺でありたいという願いを根幹に据え、すべての活動を行っています。

◆信行寺 三つの柱

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次に、信行寺の取り組みの全体像についてお話しします。

信行寺では、「三つの柱」を中心に据えて活動しています。

その三つとは、「仏教」「仏事」「寺院運営」です。

一つ目の「仏教」とは、私たちの宗派でいえば、浄土真宗の教え、お念仏の教えに触れていただくような場づくりなどのことです。

二つ目の「仏事」とは、いわゆる「供養」に関することです。

「葬儀」や「法事」、「お墓」や「納骨堂」など、仏事に関することを、お寺ではおこなっています。

三つ目の「寺院運営」とは、お寺を維持し、安定した活動ができるような仕組みづくりの部分です。

例えば、「伽藍や境内の維持管理・修繕」や、「信徒組織の整備・運営」、「来客や電話対応」などです。

これらの三つは、日本のお寺が長い間、取り組んできたことです。

つまり、「仏教」「仏事」「寺院運営」の三つは、日本のお寺において本質的な活動であると言えます。

それ以外にも、本質的な活動はあるかと思いますが、信行寺では、「仏教」「仏事」「寺院運営」を「三つの柱」として中心に据えて活動をすることを数年前に決めました。

では、具体的にどういうことに取り組んでいるのか。

「三つの柱」にそって、ご紹介させていただきます。

◆仏事の取り組み

それではまず、信行寺の「三つの柱」の一つである「仏事」の取り組みについて、ご紹介いたします。

「仏事」とは、よく使われる言葉で言えば、供養とも言います。

浄土真宗では、供養という言葉はあまり使いませんので、ここでは「仏事」という言葉を使わせていただきます。

お寺でおこなっている「仏事」には、ご葬儀やご法事、お墓や納骨堂などの遺骨に関することなどがあります。

◆お経の意訳本の制作

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「仏事」の取り組みの一つ目として「お経の意訳本の制作」についてご紹介いたします。

ご法事の際などに、ご門徒やご遺族の方から「お経の意味が知りたい」という声を伺うことがありました。

そこで、「お経の意味に触れていただけるようにしたい」という思いから制作したのが、「お経の意訳本」です。

上段にお経、下段にそのお経の意訳を記載しています。

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「意訳本」ができたことで、ご法事の際や、ご自宅で仏様に手を合わせる際にも、お経の意味に触れていただけるようになりました。

「お経の意味が分かると、となえる時の心持ちが違いますね」といった喜びの声をいただいています。

この「意訳本」は、2017年に信行寺開基400年の記念事業として発行しました。

今の方々もそうですが、100年先もこの「意訳本」を通してお経の意味に触れるご縁となればと思いながらつくりました。

◆新納骨堂の建設

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「仏事」の取り組みについて、続いて「新納骨堂の建設」についてご紹介します。

信行寺には現在、三棟の納骨堂がありますが、そのうち二棟が、築70年、築60年と、老朽化が進んでいます。

また、平成に建てた納骨堂もすでに空きがない状態で、新たな納骨壇をお求めの声をいただいていました。

こうした状況から、現在、新納骨堂の建設計画を進めています。

福岡は、納骨堂文化が根付いたのが比較的早かったようで、現在、建て替えの時期を迎えているお寺様も少なくありません。

ただ一方で、少子化や人口減少、そして建築費の高騰など、納骨堂建設には慎重になる要素も増えています。

そのため、現在必要な分だけの納骨場所を用意するという考え方もあるかと思います。

しかし信行寺では、納骨堂へのお問い合わせや、お墓からの改葬などのご相談を継続的にいただいています。

そうしたことから、将来を見据え、ややゆとりのある規模で整備する方向で計画を進めています。

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今後50年から70年くらい先を見据えて、安心してご遺骨を預けていただける環境を長期にわたり整えることを目指し、建設計画を進めています。

ご葬儀や納骨からお寺とのご縁を持つ方の割合は多いです。

だからこそ、そのご縁の入り口となるご葬儀や納骨の場を、現代の方々の求めに合わせて整えていくことは、これからのお寺にとって重要なことではないかと思っています。

◆永代供養の整備

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納骨堂の建設と並行して取り組んでいるのが、「永代供養の整備」です。

永代供養とは、承継者のいないご家族やご親族に代わり、お寺などがご遺骨などの維持・管理・供養をおこなう仕組みのことです。

浄土真宗では、永代供養という言葉は本来あまり用いませんが、生活者の方々にとって分かりやすい言葉であるため、信行寺では永代供養という名称を用いています。

現代は、お子様がおられないご家庭や、いても遠方にお住まいなど、ご事情によりお墓などを継承することが難しいケースが増えています

そのため、「この先、自分たちの後はどうなるのだろうか」という不安を抱えておられる方が多いのが現状です。

実際に、信行寺でも永代供養に関するご相談が年々増えており、仕組みを整えることが急務となっていました。

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そこで整備にあたり、特に重視したのが、

・費用や仕組みが分かりやすいこと
・将来にわたり安心していただけること

の2点です。

具体的には、永代供養用の納骨壇と、永代供養用の合同納骨処を用意し、かかる費用と内容を明確にしました。

永代供養の仕組みを整えたことで、ご相談への説明や対応が格段にしやすくなりました。

また、ご相談される方にとっても、分かりやすさがそのまま安心につながっていると感じています。

今後は、新納骨堂の建設にあわせて、永代供養用の納骨壇をさらに増設するとともに、新たなかたちの永代供養も準備しているところです。

◆終活講座

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「仏事」の取り組みについて、続いて「終活講座」をご紹介いたします。

この数年、「ご葬儀」や「墓じまい」、「永代供養」や「お仏壇の整理」など、終活に関する様々なご相談をいただくようになりました。

そこで信行寺では、終活に関する悩みや疑問について、皆様とご一緒に考える場をつくろうと、「終活講座 ~縁起でもない話をしよう会」を開催しています。

終活の各分野の専門家の方をお招きし、年に数回、学ぶ場を設けています。

内容としては、「遺品整理」や「介護・看護」「延命治療」「葬儀」「遺骨」「相続」のことなど、終活全般にわたるテーマについて、注意点や知っておきたいことを、分かりやすくお話していただいています。

講座には、門信徒の方々をはじめ、SNSなどを通じて知ってくださった方など、毎回30名ほどの方がご参加されています。

ご参加の方からは、

「不安な気持ちが楽になりました」
「そうだと頷くことが多くありました」
「これを機会に少しずつ始めてみようと思います」

といったお声をいただいています。

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終活に関する悩みの中で、特に多く聞かれるのが、「どこに相談すればよいのか分からない」というお声です。

ですので、終活に関する相談を受けてくれ、必要に応じて信頼のできる専門家を紹介する

そのような、ある程度ワンストップ(一か所)で対応ができる「終活の窓口」が、今求められているのではないかと思います。

そして、お寺はご葬儀などの死に関する役割を昔から担い、また地域の方々との関係性もあります。

そうしたお寺が、「終活の窓口」になってくれると、安心を感じられる方も多いのではないかと思います。

そのような「終活の窓口」となる取り組みとして、信行寺では「終活講座」をおこなっています

いかがだったでしょうか。

今回は、「ご縁を喜んでいただけるお寺を目指して」というテーマで、信行寺での取り組みの中でも、主に仏事の取り組みについて、ご紹介をさせていただました。

どのようなご感想をもたれたでしょうか。また教えていただけますと嬉しいです。

次回は、続きの仏教の取り組みについて、ご紹介いたします。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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