【仏事作法解説】お焼香の作法(浄土真宗本願寺派)

今回は、「お焼香の作法」について、解説をさせていただきます。

お通夜やご葬儀、ご法事などに参列をされる際に、お焼香をする機会があられるかと思います。

その時に、どのような作法でお焼香をしたらよいのか、迷うことはありませんか。

前の方がしている仕方を真似て、お焼香をしたことがある方もおられるのではないでしょうか。

また、他宗派のご葬儀やご法事に参列される際など、自分の宗派の仕方でしてよいのかと、悩むこともあるかもしれません。

そこで今回は、浄土真宗本願寺派の「お焼香の作法」について、解説をさせていただきます。

お焼香には、香りをお供えするという意味があります。

作法を覚えて、安心してお焼香をしていただけるようなご縁となれば幸いです。

▼動画でもご覧いただけます。

◆お焼香の作法の特徴

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さて、お焼香の作法は、宗派によって違います。

そこで、浄土真宗本願寺派の「お焼香の作法」の特徴について、まずお話します。

まず、お焼香の際にお香(抹香)をくべる回数ですが、浄土真宗本願寺派においては一回です。

宗派によっては、二回や三回くべることもあります。

ですが、浄土真宗本願寺派においては一回ですので、覚えておいていただければと思います。

また、抹香をくべる際に、額で押しいただくかどうかも、宗派によって違いがあります。

浄土真宗本願寺派では、抹香を額のところで押しいただきません。

お香をくべる回数は一回で、額のところで押しいただかないということが、浄土真宗本願寺派のお焼香の作法の特徴になりますので、覚えておいていただければと思います。

ちなみに、他宗派のご葬儀やご法事に参列した際は、特に差しさわりがない場合は、ご自身の宗派の仕方でしていただいてよいです。

浄土真宗本願寺派のお寺とお付き合いがあられる方は、他宗派のご葬儀やご法事であっても、浄土真宗本願寺派の作法でおこなっていただければと思います。

◆立って行うお焼香の作法

立って行うお焼香と、座って行うお焼香とがあります。

おおむね作法は一緒ですが、少し違うところがありますので、まずは立って行うお焼香の作法について解説致します。

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まず、焼香卓(じょく)の手前で立ち止まり、一礼します。この一礼の時には、合掌はしません。

次に、左足から焼香卓の前に進みます。

香盒(こうごう)というお香を入れる器の蓋が閉まっている場合は、右手で蓋を取り、香盒の右側のふちにかけます。

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その後、右手でお香(抹香)を一回だけつまみ、額のところで押しいただかずに、そのまま香炉の中にある炭の上にくべます。

香盒の蓋を閉めてから、合掌し、「南無阿弥陀仏」とお念仏を数回称え、礼拝します。

ご自身の後にお焼香をされる方がいる場合は、香盒の蓋を閉める必要はありません。

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合掌礼拝が終わったら、右足から後ろに下がり、立ち止まり一礼します。この一礼の時も合掌はしません。

一礼した後に、ご自身の席に戻り、座ります。

以上が、立って行うお焼香の作法です。

◆座って行うお焼香の作法

次に、座って行うお焼香の作法について、解説します。

ご法事などでは、座ってお焼香をすることもあるかと思います。

その際は、こちらの作法をご参考になさってください。

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まず、焼香卓(じょく)の手前で立ち止まり、立った状態で一礼します。この一礼の時には、合掌はしません。

次に、左足から焼香卓の前に進み、着座します。

香盒がしまっている場合は、右手で蓋を取り、香盒の右側のふちにかけます。

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その後、右手でお香(抹香)を一回だけつまみ、額のところで押しいただかずに、そのまま香炉の中にある炭の上にくべます。

香盒の蓋を閉めてから、合掌し、「南無阿弥陀仏」とお念仏を数回称え、礼拝します。

ご自身の後にお焼香をされる方がいる場合は、香盒の蓋を閉める必要はありません。

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合掌礼拝が終わったら、立ち上がり、右足から後ろに下がり、立ち止まって一礼します。この一礼の時も合掌はしません。

一礼した後に、ご自身の席に戻り、座ります。

以上が、座って行うお焼香の作法です。

◆合掌・念仏・礼拝の作法

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お焼香の時に合掌・念仏・礼拝をしますが、その作法も宗派によって違いますので、補足しておきます。

合掌は、両手の人差し指から小指を、お念珠の輪の中に通し、親指で軽く押さえます。

お念珠の房は下にくるようにします。

そして、両手の掌(てのひら)を合わせるようにし、指が開かないようにします。

肘をはらずに、両手を胸の前で合わせます。

上体に対して、指先の角度を45度程度にすると、美しい合掌の姿勢になります。

額の前で合掌したり、胸から遠い場所で合掌はしません。

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合掌をしたら、目線を仏様のほうへ向け、「南無阿弥陀仏」(なもあみだぶつ)(「なまんだぶつ」「なまんだぶ」とも言う)と数回お念仏を声に出して称(とな)えます。

そして、上体を前に45度程度傾け、礼拝(らいはい)します。ちょうど、指先と床とが並行になるくらいの角度です。

腰が痛い場合などは、無理に上体を傾けなくても良いですが、正式な作法としてはそのようになっています。

礼拝後、元の姿勢に戻り、合掌をときます。

合掌していない時は、お念珠は左手に持ちます。

◆ご法事の際のお焼香の準備

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最後に、ご自宅でご法事をされる際のお焼香の準備について解説します。

ご自宅でご法事をなさる際は、お焼香のご準備をお願い致します。

主に準備をするものは、抹香の入った香盒(こうごう)と、香炭(こうたん)です。

香盒とは、抹香を入れる器ですが、中に抹香(お香)が入っているか、確認をお願い致します。

もし、抹香が少ない場合や入っていない場合は、追加をお願いします。

香炭は、お焼香の際に火種にする炭です。

香炭に火をつけ、香炉の中に入れて準備しておいていただけるとありがたいです。

しかし、あまり早く火を付けると消えてしまいます。

ですので、火をつけていない香炭を火種に重ねるように、置いておいていただくか、僧侶が途中で香炭を追加できるように、香炭を余分に出しておいていただけると助かります。

火をつけるのが難しい場合は、抹香の入った香盒と香炭を準備しておいていただけるだけでもありがたいです。

抹香や香盒、香炭がない場合は、仏具店に売っています。

また、ご葬儀をされた方は、葬儀社からいただいたものの中に入っている場合もあります。

ご法事の前に、ご確認いただけますと幸いです。

また、お寺によっては、お盆に香炉を置いて、回し焼香をする場合もあります。

念のため、お盆もご準備いただけると丁寧かと思います。

いかがだったでしょうか。

今回は、浄土真宗本願寺派の「お焼香の作法」について、お話をさせていただきました。

ご葬儀やご法事などの際の参考にしていただけますと幸いです。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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◇参照文献
・『浄土真宗聖典』注釈版/浄土真宗本願寺派
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・『浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典』/浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典編纂委員会
https://amzn.to/3PXJ37v
・『浄土真宗辞典』/浄土真宗本願寺派総合研究所
https://amzn.to/3ha42oh
・『浄土真宗本願寺派 法式規範』/浄土真宗本願寺派 勤式指導所
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・『浄土真宗 必携』み教えと歩む/浄土真宗必携 編集委員会
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・『新・仏事のイロハ』/末本弘然
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・『勤行意訳本』/神崎修生
(『勤行意訳本』については、信行寺までお問い合わせください。 (
https://shingyoji.jp/ )

南無阿弥陀仏