仏事作法ワンポイント解説ということで、仏事や作法について知っておきたいことや、いまさら聞きづらいことなどを、ワンポイントで解説しております。
今回は、お仏壇の向きと配置について、解説させていただきます。
▼動画でもご覧いただけます
ご遺族の方に、このようなご質問をいただくことがあります。
「家族が亡くなって、新しくお仏壇を購入しようと思いますが、どこに置けば良いのか悩んでいます」
「自分たちの家は仏間がないので、どこにお仏壇を置けば良いでしょうか」
「お仏壇を置くのに、良い向きや方角はあるのでしょうか。問題のない場所に置きたいと思うのですが」
このようなご質問です。
結論から申しますと、お仏壇の向きや方角に捉われなくて良いです。また、お仏壇を置く場所は、手が合わさりやすい場所が良いです。
今回は、この部分をもう少し補足しながら、解説したいと思います。
なお、私は浄土真宗本願寺派の僧侶となりますので、その立場からの解説となります。
◆お仏壇の向きや方角
まず、お仏壇の向きや方角ですが、捉われなくて良いです。
仏教は、捉われから離れる教えです。浄土真宗では、この向きや方角じゃないといけないと言うことはありません。
ですので、向きや方角に捉われずに、また祟りや災いを気にせずに、ここが良いと思われる場所に、安心してお仏壇を置いていただければと思います。
また、別の見方もあります。浄土真宗のご本尊である阿弥陀仏という仏様の国は、西方極楽浄土とも言われ、西側にあると経典に示されています。
太陽の沈みゆく西の方角に、先に往かれた方がおられるのではないか。そのように、阿弥陀仏にゆかりの深い方は、亡き方を偲んできた歴史もあります。
そのため、阿弥陀仏のお浄土のある西側に、お仏壇を置くという文化も大切にされてきました。
住宅事情にもよりますが、お仏壇を西側に置くことが可能な方は、それも良いかと思います。西側に置く場合は、お仏壇は東向きになります。
◆お仏壇を置く場所
お仏壇を置く場所をお決めになる際に、もう一つの視点は、手が合わさりやすい場所が良いということです。
手が合わさりやすい場所とは、例えば、先に往かれた方を偲びやすい場所や、心が安らぐ場所などです。
どの場所にお仏壇を置けば、先に往かれた方を偲びやすいだろうか。心が安らぐだろうか。
そのような視点で、置く場所を考えてみると、そのご家庭、ご自宅に合ったお仏壇の場所が決まってくるかと思います。
リビングから離れた静かな部屋が、心が安らぎそうだと言って、お仏壇を置かれた方もおられました。
また逆に、あの人と一緒に食卓を囲みたいからと言って、リビングにお仏壇を置かれた方もおられました。
このように、それぞれのご家庭で、手が合わさりやすい場所があるかと思います。
お仕事で慌ただしく日々を送られている方は、リビングに近いところにお仏壇があった方が、日常生活の導線の中で、手が合わさりやすいこともあるでしょう。
定年後で家にいることが多い方は、静かな場所のほうが心が安らいで、手が合わさりやすいということもあるでしょう。
日々の生活の流れなども含めて、どの場所にお仏壇を置けば、先に往かれた方を偲びやすいだろうか。心が安らぐだろうか。
そのように考えてみると、そのご家庭、ご自宅に合ったお仏壇の場所が決まってくるかと思います。
お仏壇を置く場所は、手が合わさりやすい場所が良いというのは、浄土真宗の考え方というわけではありません。ですが、ご遺族とお話する中で、納得される方が多い視点ですので、参考にしてみていただければと思います。
◆
仏事作法ワンポイント解説ということで、今回は、お仏壇の向きと配置について、解説させていただきました。
結論としては、お仏壇の向きや方角に捉われなくて良いということと、手が合わさりやすい場所にお仏壇を置くと良いというお話をさせていただきました。
そしてお仏壇は、仏様に手を合わせる場所ともなります。先に往かれた方を偲ぶことを通して、仏様に手を合わせ、仏様の教え(仏法)に耳を傾けるご縁ともなれば幸いです。
合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
南無阿弥陀仏