仏事作法ワンポイント解説ということで、仏事や作法について知っておきたいことや、いまさら聞きづらいことなどを、ワンポイントで解説しております。
今回は、お仏壇のご本尊と脇掛について、解説させていただきます。ご自宅のお仏壇を改めてご確認いただいたり、またお仏壇をこれからご購入される方も、ご参考にしていただければ幸いです。
なおこの内容は、浄土真宗本願寺派(本山は西本願寺)の内容で、お話させていただきます。
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さて、ご自宅のお仏壇をご覧いただくと、中央の上段に仏様がご安置されています。こちらの仏様を、ご本尊と言っています。ご本尊とは、その宗派やお寺で最も大切にされ、礼拝の対象とされている仏様や菩薩のことです。ご本尊は、宗派やお寺によって違います。
ここで問題ですが、浄土真宗のご本尊は、何という仏様でしょうか。
正解は、阿弥陀仏(阿弥陀如来)という仏様です。浄土真宗のお寺によく通われている方は、ご存知かと思いますが、最近お寺とご縁ができたばかりの方は、初めて聞いたという方もおられるのではないでしょうか。
阿弥陀仏という仏様は、浄土真宗や浄土宗などで、ご本尊として敬われている仏様です。浄土という仏様の国が特徴だと言われます。
戦乱や飢饉など、死が身近に感じられた時代には、死後に阿弥陀仏の浄土を願う方が多かったと言います。今でも、大切な方が浄土に往かれ、見まもってくださっているという阿弥陀仏の浄土の世界観は、大切な方を失った方の安らぎにもなっているかと思います。
浄土真宗のご家庭のお仏壇には、ご本尊として、阿弥陀仏のご絵像や、名号本尊という南無阿弥陀仏という言葉が記された掛け軸をご安置します。また、阿弥陀仏のお木像をご安置する場合もあります。いずれも、同じ阿弥陀仏のお姿やお徳が表現されたものです。
ご本尊の絵像と名号本尊は、京都の西本願寺から正式なものが出ており、裏側に印と裏書きがされています。お仏壇をご購入される場合などには、ご縁のあるお寺のご住職さんや坊守さんなどにご相談されて、ご本尊をお迎えになると良いかと思います。
次にご本尊の両脇に、掛け軸が掛けてあり、脇掛(わきがけ)と言っています。
脇掛をご覧いただくと、お坊さんの絵が描かれています。仏様の隣に掛けてあるくらいですから、浄土真宗でとても大切にされているお坊さんなのですが、どなたかご存知でしょうか。
まず、向かって右側の絵像ですが、こちらは親鸞聖人という方が描かれています。
親鸞聖人とは、浄土真宗の宗祖とされる方です。親鸞聖人自身は、浄土宗の開祖である法然聖人の弟子という立場を取り続けていて、浄土真宗という宗派をたててはいません。
ですが、ひ孫の覚如上人という方が、親鸞聖人のご遺徳を讃え、親鸞聖人を宗祖として、本願寺や浄土真宗の礎を築いていきました。
また、向かって左側の絵像ですが、こちらは蓮如上人という方が描かれています。
本願寺の第八代宗主で、本願寺の中興の祖とされています。浄土真宗の教えを全国に広め、発展させた方だと言われます。ちなみに蓮如上人は、禅僧の一休宗純(一休さん)と同時代の方で、親交があったそうですね。
とにかく、浄土真宗においては、親鸞聖人と蓮如上人のご遺徳が特に大きいので、そのお二人を阿弥陀仏の両脇にご安置して、ご遺徳を仰いでいます。
また脇掛は、「南無不可思議光如来」という九字名号、「帰命尽十方無碍光如来」という十字名号が記されている場合もあります。名号とは仏様の名前のことで、浄土真宗では阿弥陀仏の名のことです。
「南無不可思議光如来」が九文字ですから九字名号、「帰命尽十方無碍光如来」が十文字で十字名号と言われます。
とにかく、脇掛には親鸞聖人と蓮如上人の絵像をご安置する場合と、阿弥陀仏の名である名号をご安置する場合とがあります。
ご本尊と同じく脇掛も、西本願寺から正式なものが出ておりますので、お迎えの場合はご本尊と合わせて、ご縁のあるお寺のご住職さんや坊守さんなどにご相談なさってみてください。
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いかがだったでしょうか。今回の仏事作法ワンポイント解説は、お仏壇のご本尊と脇掛について、解説させていただきました。
今一度、ご自宅のお仏壇をご確認いただいたり、またお仏壇をこれからご購入される方も、ご参考にしていただければ幸いです。
合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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南無阿弥陀仏