日頃からご法事などで、色々なお宅のお参りをさせていただいていますが、「お仏壇の飾り方」がよく分かりませんという声を伺います。そこで今回は、「お仏壇の飾り方」について、その中でも特に基本となる、「ロウソク立て」や「香炉」、「花瓶」といった仏具の飾り方について、ご一緒に見ていきたいと思います。

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お仏壇は、お寺の本堂の内陣という部分をコンパクトにしたものだと言われます。ですから、お寺での仏具の飾り方が、お仏壇の飾り方の基本となります。ですので、お寺での仏具の飾り方を参照しながら、お仏壇の飾り方を見ていきます。

ただし、お仏壇はサイズや形式が色々とありますから、お寺での飾り方と同様にできるものとできないものとがあります。例えば、小さなサイズのお仏壇でしたら、全ての仏具を置くことができない場合もあります。

そこで今回はまず、お仏壇のお飾りの基本的なところをご紹介しようと思います。お仏壇のお飾りの基本は、どのようなサイズや種類のお仏壇でも共通するところです。今回の内容をもとに、ご自宅のお仏壇をご覧になっていただき、仏具が正しい位置に置かれているかなど、改めて確認していただければと思います。

それではさっそく見ていきましょう。

◆基本的な仏具

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さて、お仏壇にお飾りする最も基本的な仏具があります。それは、「ロウソク立て」「香炉」(こうろ)「花瓶」(かひん)の三種類です。

「ロウソク立て」は、その名の通り、ロウソクを立てるものですね。「香炉」は、お線香などのお香をたくものです。「花瓶」(かひん)は、一般的には「かびん」と読みますが、浄土真宗では「かひん」と言われています。花立てのことですね。

文献などを調べると、「ロウソク」も「お香」も「お花」も、かなり昔からお供え物として使用されていたことが分かります。ですからこの三つは、仏様や先に往かれた方へ手を合わせる時に、お供えするお供え物の最も基本的なものと言えるかと思います。

そのお供え物の基本である「ロウソク」「お香」「お花」をお供えする際に用いるのが、「ロウソク立て」「香炉」「花瓶」です。ですので、「ロウソク立て」「香炉」「花瓶」の三種類は、最も基本的な仏具と言って良いでしょう。この三つは、小さなお仏壇の場合も、最低限必要な仏具となります。

◆三具足

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「ロウソク立て」「香炉」「花瓶」の三種類の仏具が一つずつ揃っている状態のことを、「三具足」(みつぐそく)と言います。

この「三具足」の状態が、お仏壇のお飾りの基本であり、お仏壇を整える場合は、まずここから始めると良いです。

お仏壇の中の手前の方に、「三具足」の仏具をお飾りします。向かって右側から「ロウソク立て」、中央に「香炉」、左側に「花瓶」の順にお飾りします。

この並び順が結構バラバラになっていることも多いです。今一度、お仏壇を見ていただいて、違っている場合は、整えてみてください。

◆五具足

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お盆やお彼岸、ご命日やご法事の日など、特別な時には、「三具足」から「五具足」(ごぐそく)にします。「三具足」に、「ロウソク立て」と「花瓶」を一つずつ加え、「五具足」にします。

「五具足」とは、「ロウソク立て」と「花瓶」とが一対ずつ(二つずつ)と、それに「香炉」が揃っている状態のことです。両側の外側から「花瓶」一対、その内側に「ロウソク立て」一対、中央に「香炉」という並び順になります。

平時は「三具足」で、特別な時には「五具足」にすると覚えておくと良いです。平時に使わない「ロウソク立て」と「花瓶」の一つずつは、お仏壇の下の収納部分などにしまっておいてください。

また、小さなお仏壇の場合には、「五具足」の仏具を置くことができない場合もあります。その場合は、特別な時でも、「三具足」でお飾りいただいて良いかと思います。

◆経卓

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また、お仏壇の手前には、「経卓」(きょうじょく)という卓を置きます。「経卓」とは、その名の通り、お経の本を置く卓です。ですので、「経卓」の上には、「ロウソク立て」や「香炉」や「花瓶」は本来置きません。「経卓」の上に仏具を置かれている場合も多いですが、もしお仏壇の中にお飾りができそうでしたら、そうしてみてください。

ただし、実用的な面から言うと、お仏壇のサイズが小さければ、お仏壇の中に「ロウソク立て」や「花瓶」は置きづらかったり、ロウソクの火が危ないこともあります。また、ご年配の方でしたら、ロウソクの火をつけたり、お線香をお供えする時に、それらが遠くにあったら、腰が痛かったり、手が届かないという場合もあるでしょう。

まず、基本の飾り方を試していただき、それが難しい場合は、状況に応じて仏具の一部を経卓の上に置くなど、可能な範囲で適宜におこなっていただければと思います。

◆四具足

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また、お仏壇には、「四具足」(しぐそく)の仏具もお飾りします。

「四具足」とは、「華瓶」(けびょう)一対、「ロウソク立て」、「火舎」(かしゃ)のことです。「華瓶」とは、樒(しきみ)などの青木を生けるものです。「火舎」とは、フタの付いた香炉のことです。

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お仏壇の中の上の方に、「四具足」の仏具をお飾りします。両外側に「華瓶」一対、中央の手前に「火舎」、中央の後ろに「ロウソク立て」を置きます。

小さなサイズのお仏壇は、「四具足」の仏具を置けない場合があったり、また購入した時に「四具足」の仏具のうち、「華瓶」だけしか付いていない場合もあるようです。このあたりが、お仏壇の種類やサイズによって、お寺と同様の飾り方ができたりできなかったりする部分です。

可能でしたら、基本の飾り方を試していただき、難しい場合は、可能な範囲で適宜お飾りいただければと思います。

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また、「華瓶」にはお水を入れて、樒(しきみ)などの青木を挿しお供えします。樒には、水を浄化して香りを良くする効果があるそうです。樒で浄化された水のことを「香水」と書いて「こうずい」と言います。「香水」は、仏様の国であるお浄土の水の美しさや、香り高さを現わしていると言われています。

浄土真宗ではお水をお供えしないと言われることがありますが、正確に言うと、「華瓶」の中にお水を入れて、香水としてお供えします。コップやお湯飲みにお水を入れてお供えする宗派もありますが、浄土真宗では正式には、「華瓶」の中にお水を入れて、樒などの青木を挿してお供えします。

ちなみに、樒はなかなか売っていなかったり、売っていてもかなりの量での購入となってしまう場合があります。ですから、お庭がある方などは樒を植えるのも良いかもしれません。信行寺とご縁がある方でも、植えてらっしゃる方もいます。

今回は、「お仏壇の飾り方」について、その中でも特に基本となる、「ロウソク立て」や「香炉」、「花瓶」といった仏具の飾り方について、見ていきました。意外に知らないこともあったかもしれませんね。

今回の内容をもとに、ご自宅のお仏壇をご覧になっていただき、正しい位置に置かれているかなど、改めて確認していただければと思います。

また、仏事作法については、他にも関心が高いことも多いかと思います。法名帳や写真の置き場所についてや、お供え物の仕方など、他にも気になることがあるかと思いますので、そちらもまたの機会にご紹介したいと思います。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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◇参照文献
・『浄土真宗聖典』注釈版/浄土真宗本願寺派
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・『浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典』/浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典編纂委員会
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・『浄土真宗辞典』/浄土真宗本願寺派総合研究所
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