お坊さんってどんな一日を過ごしているんですか?
このようなご質問をいただくことがあります。
「朝は何時くらいに起きるのか」「修行僧のような生活をしているのか」「案外普通の生活なのか」と、色々な疑問がわいてくるかもしれませんね。
そこで今回は、「僧侶の知られざる一日(得度習礼編)」と題して、「得度習礼」(とくどしゅらい)での一日のスケジュールをご紹介したいと思います。
ご自身の日々と照らし合わせて、日頃の生活を振り返っていただくような機会になれば幸いです。
修学の期間や内容は、宗派によって違いがありますので、今回は私が所属している浄土真宗本願寺派での内容をご紹介いたします。
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◆得度習礼と教師教修

さて、「得度」(とくど)とは、僧侶になるための儀式のことです。
浄土真宗本願寺派では、京都にある「本願寺西山別院」にて、11日間の「得度習礼」(とくどしゅらい)という教修を受け、最終的に「得度式」を受式します。
また、「得度習礼」とは別に、「教師教修」というものもあります。
「教師」とは、本願寺派のお寺の住職になるために必要な資格のことです。
お寺の住職になるためには、「得度習礼」を受けた後日、「教師教修」も受ける必要があります。
「得度習礼」の時と同じく、「本願寺西山別院」にて、10日間の「教師教修」を受け、教師資格が授与されます。
また、「得度習礼」や「教師教修」の前にも、それらを受けるために一定期間の講習を受けて、試験に通過する必要があります。
ですが、今回は「得度習礼」の一日のスケジュールをご紹介することがメインですので、それらは割愛します。
ちなみに、教師というと学校の先生を思い浮かべる方もいるかと思いますが、学校の先生の資格とは違います。
◆得度習礼中の一日

では、「得度習礼」や「教師教修」での一日のスケジュールをみてみましょう。
朝の起床時間は、5時30分です。
起きたら顔を洗い、歯を磨き、着替えたりして支度をします。
その後、6時から約20分間、掃除をします。
掃除が終わったら、朝のお勤めの準備をします。
黒衣(こくえ)などの僧侶用の衣を着て、お袈裟(けさ)をつけて、本堂に向かいます。
そして、得度習礼を受けている全員で、晨朝勤行(じんじょうごんぎょう)という朝のお勤めをします。
朝のお勤めでは、親鸞聖人が書かれた「正信念仏偈」や「和讃」などをおとなえします。
朝のお勤めが、7時からおおよそ50分間あります。
お勤めが終わったら着替えて、8時から朝食です。
朝食の後、身支度をしてから、9時から12時までは講義があります。
講義では、浄土真宗の教義や、お経のとなえ方や作法などを学びます。

昼食をはさみ、午後からもおおよそ3時間、講義や掃除の時間があります。
夕方の5時頃から、日没勤行(にちもつごんぎょう)という夕方のお勤めがあります。
夕方のお勤めは朝より長く、およそ1時間15分程度あります。
その後、午後6時30分から夕食をとります。

夜の7時30分からはお経や作法の練習などがあり、夜のお勤めをします。
8時30分から入浴時間があり、翌日の準備などをして、10時頃から就寝準備に入り、遅くても10時30分には消灯になります。
「得度習礼」中は、おおよそこのようなスケジュールで毎日を過ごします。
今のようなスケジュールを聞かれて、どのように思われたでしょうか。
「スケジュールがぱんぱんで結構大変そうだな」とか、「規則正しい生活だな」と思われた方もおられるかもしれませんね。
私が「得度習礼」を受けてみて実際にどう思ったか、感想も少し共有させていただこうと思います。
◆得度習礼で大変だったこと
私が「得度習礼」を受けて良かったと思ったことと、大変だと思ったことがそれぞれありました。
大変だったことからお話したいと思いますが、「得度習礼」で私が大変だと思ったことは、大きく三つありました。
大変だったことの一つ目は、正座です。
朝や夕方のお勤めで、正座をすることは勿論ですが、私が「得度習礼」を受けた時は、確か講義中も正座をすることが多かった記憶があります。
「一日何時間正座をするんだろうか」「血流が良くないだろうな」と思ったものでした。
足の甲が赤くなり、足が痛くて痛くて、それが一番大変だったです。
大変だったことの二つ目は、集団生活です。
スポーツなどで集団生活に慣れていらっしゃる方は、そんなに苦にはならないと思うのですが、私はあまり集団生活が得意ではありません。
「得度習礼」の時は、数十名の方と一緒に生活を共にします。
確か一つの部屋に6人ほどで寝泊まりをした記憶があります。
人と一緒だとあまり寝れないのと、皆のペースに合わせる必要があるので、慣れるまでは大変だった記憶があります。
大変だったことの三つめは、西山別院の外に出られないことでした。
得度習礼の期間中は外出禁止で、外の道を歩くこともできません。
休憩中に窓から西山別院の外を眺めて、「いいな」「外を歩きたいな」と思ったものです。
自由に外を歩けるということだけでもありがたいことだと感じました。
ちなみに得度習礼には、携帯電話やパソコン、ゲームや得度に関係のない本などの持ち込みも禁止です。
◆得度習礼で良かったこと
「得度習礼」を振り返ってみて、良かったと思ったことも大きく三つありました。
一つ目は、生活習慣が整うことです。
夜は10時頃から就寝準備に入りますし、朝は5時半には起きるので、生活習慣はとても良いです。
普段、お仕事などで寝る時間を削って忙しくされている方だと、「得度習礼」を受けてかえって元気になった方もいました。
また、スマホやゲームなどを持ち込みできませんので、ダラダラと夜更かしをすることもありません。
このように、「得度習礼」を振り返ってみて良かったと思ったことは、生活習慣が整うことでした。
食事も基本的に質素ですから、身体も元気になります。
「得度習礼」で良かったと思ったことの二つ目は、やるべきことに集中できる環境が整っていることです。
「得度習礼」は目的がはっきりしています。
僧侶になるために必要な技能や知識を向上することや、僧侶としての自覚を深めることなどが「得度習礼」の目的とされています。
目的が明確化されていて、それに取り組むために一日のスケジュールが組まれています。
やるべきことに集中できる環境が整っていることが、振り返ってみて、とても良いことだと思いました。
やりたいことがあるけれどできていない。やったほうがよいことを後回しにしてしまう。
そういう方がおられたら、一日のスケジュールを見直してみて、やるべきことに集中できる環境を整えてみると良いかもしれません。
「得度習礼」を振り返ってみて良かったと思ったことの三つ目は、仲間の存在です。
もし一人だけで「得度習礼」を受けていたら、孤独だったと思います。
年齢も出身地も違う方々ばかりでしたが、そうした方々と話し合いながら、また励まされながら最後の日を迎えることができました。
大変な中でも、仲間がいるからこそ一緒に乗り越えることができる、日々を歩んでいけるということが私たちにはあるように思います。
日々の生活や仕事においても、理解し合える仲間の存在は大切なものだと思います。
私は集団生活は苦手なのですが、そういう仲間と一緒に過ごせたのも良い思い出です。
◆
いかがだったでしょうか。
今回は、「僧侶の一日(得度習礼編)」と題して、「得度習礼」の一日のスケジュールをご紹介しました。
皆様、どのようなことを感じられたでしょうか。
ご自身の日々と照らし合わせて、日頃の生活を振り返っていただくような機会になれば幸いです。
合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
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◇参照文献:
・得度習礼案内・得度願/僧侶養成部
南無阿弥陀仏