「障がい者就労移行支援」に取り組む企業様が、ご利用者様と共に、信行寺にご参詣くださいました。ご利用者の方々にとって、様々な職に触れる機会になり、心の安らぎにもなればとの思いからご連絡をいただいたようです。
そこで、信行寺では、
・お経の体験
・身体をほぐすストレッチ
・仏教やお寺についての話
というプログラムを用意し、皆様をお迎えしました。
たくさん質問も出て、なごやかな時間の中、ご一緒に過ごさせていただきました。少しでも、心安らぐ時間や、お寺を身近に感じるご縁となっていれば嬉しいです。
当日、お話した「仏教やお寺についての話」を、動画に収録し、文章でもまとめましたので、宜しければご覧ください。
▼動画でもご覧いただけます
本日は、信行寺までようこそお越しくださいました。
信行寺は、浄土真宗という宗派のお寺でして、1610年代くらいに宇美町にできたお寺と言われています。今は約410年くらいになるお寺です。
皆さん、お寺にお参りされたことはあるでしょうか。今日は、お寺を少しでも身近に感じていただくような機会になればと思っております。
まずは、お寺について知っていただけるようなお話をさせていただこうと思います。その後に、宜しければ皆様とお経体験をさせていただこうかと考えています。
僅かな時間ではありますが、ゆったりとした気持ちで、お寺で過ごして帰っていただければと思います。
◆お寺と神社の違い
さて、今皆さんがおられるのはお寺です。お寺と神社の違いはご存知でしょうか。
お寺は仏教で、神社は神道です。仏教とは何かというと、インドにおられたお釈迦さまという方から始まったのが仏教です。
◆仏教とは
お釈迦さまは、実在の人物なのですが、釈迦族という一族の王子として生まれます。王様の子、後継として生まれるんですね。
ですが、人が老い、病になり、死んでいくということに無常を感じ、王子の地位を捨てて、出家をされたと言われています。
そしてご修行の後、お釈迦様は世の中のことをさとったと言われています。さとった人、目覚めた人という意味で、お釈迦様は別名、ブッダとも言われます。
ちなみに、先ほどの無常という言葉も仏教用語です。常では無いと書きます。物事は変化するということです。
変化するのは私たちもそうで、歳を重ねていきますね。歳を取りたくはないけれど、歳をとってしまう。そういうところに私たちは苦しみを感じたりします。
ですが、無常という言葉が教えてくれているのは、変わらないものはないということです。変化していくこと、歳を重ねていくことは、とても自然なことなんですよということを、この無常という言葉は教えてくれているんですね。
無常であることを知ることで、私たちは歳を重ねることを、これまでよりも素直に受け容れられたり、気持ちが楽になったりします。
例えば、こうした無常という言葉のように、仏教には様々な教えがあって、それはお釈迦様が生涯の中で語られたことでした。お釈迦様が語られたことが、お弟子さんたちによって、文字に遺され、後世に伝わっていきます。
ちなみに、そのお釈迦様の言葉が記されたものが、お経です。日本に伝わっているお経は、漢字で書かれていますが、これは仏教が中国に伝わった時に、漢字に翻訳されたからです。つまり、お釈迦様のインドの言葉が中国語に直されたんですね。それを、そのまま日本に輸入したので、お経は漢字なんですね。
◆仏教伝播
お釈迦さまから始まった仏教が、段々と信者の人が増え、世界各地に伝わっていきます。
南側の東南アジアやスリランカなどにも仏教が伝わっています。オレンジ色の布をつけたお坊さんのイメージがありませんか。あちらが南方に伝わった仏教で、南伝仏教とか、上座部仏教と言われます。
そして、日本に伝わった仏教は、北側のルートで、中国や朝鮮半島を通って伝わったものです。北伝仏教と言われたり、大乗仏教と言われたりして、南伝仏教とは少し内容が違います。
日本に仏教が伝わったのが、今から約1500年ほど前です。随分古いのですが、このように、仏教というのは、実は外国から来たものなんです。
今でこそ、日本のお寺というと、昔から日本にあって、日本のもののようになっていますが、仏教はインドのお釈迦さまから始まったものなんですね。
それが世界中の色々なところに伝わり、その土地の考え方などと混じり合いながら、少しずつ変化していきます。
日本でも、神仏習合と言われるように、神と仏が混じり合って考えられたり、お寺の境内に神社があったりもします。
最初に、お寺と神社の違いは分かりますかというお話をしましたが、確かに両社は違うものですけれども、段々と混じり合って、違いが分かりにくくなっているのかもしれませんね。
ですが、お寺は仏教というもともとは海外から来たもので、神社は神道という日本古来のものという違いがあるんですね。
◆宗派の誕生
さて、日本に仏教が伝わり、しばらくして、仏教に色々な宗派が生まれてきます。
仏教には色々な内容の教えがあるのですが、自分が大切に思う教えの内容によって、グループが生まれてきます。この教えが自分はいいな。自分には合っているな。この教えの内容が救われるな。そのようにして、教えの内容によってグループが生まれてきます。これが宗派の誕生です。日本の仏教には、様々な宗派があります。
この信行寺は、浄土真宗という宗派です。本山は、京都の西本願寺です。行かれたことがある方はおられるでしょうか。
東京にも築地本願寺がありますが、こちらも同じ宗派です。先日、笑福亭翔平さんが亡くなりましたが、そのお別れの会は、築地本願寺でされていました。
浄土真宗は、親鸞という方から始まったとされています。そして、徐々に浄土真宗の教えを大切にする方が増えて、信行寺のように、日本各地に浄土真宗のお寺が増えていきました。
日本には多くのお寺がありますが、浄土真宗のお寺の数はその中でもけっこう多くの割合をしめています。
◆日本のお寺
次に、日本のお寺はどういうところなのか、どんなことを行なっているのかについて、少しご紹介したいと思います。
まず、お寺の種類ですが、観光寺院と檀家寺との違いがあります。
観光寺院というのは、色々な方が訪れるタイプのお寺です。例えば、京都の清水寺とか、浅草の浅草寺などが有名です。
檀家寺というのは、地域の方々に支えられ、その地域の方々が参拝しているお寺です。日本のお寺ほとんどが、この檀家寺のほうです。この信行寺もそうです。実は、観光寺院は一部なんですね。
信行寺も檀家寺でもありますので、お寺ではどんなことをおこなっているのかについては、檀家寺を中心にお話しようと思います。
日本のお寺には、おおよそ3つの要素があります。
一つはご葬儀やご法事、お墓といった供養にまつわるものです。お寺といえば、お葬式のイメージがありませんか。それは実際そうで、地域のご縁がある方が亡くなられたら、ご葬儀をお願いしますと連絡があって、お通夜やご葬儀をお参りさせていただいています。
このように、日本のお寺の要素としての一つに、供養というものがあります。
日本のお寺の要素の二つに、仏教という要素があります。仏様がおられて、仏教という教えがあるということです。浄土真宗でいえば、南無阿弥陀仏という念仏。曹洞宗や臨済宗といった禅宗は坐禅。日蓮宗は、南無妙法蓮華経というお題目。それぞれにこうした仏教という要素が日本のお寺にはあります。
そして、お寺の要素の三つ目は、コミュニティです。人が集まる場ということですね。地域の方を中心に人が集まり、そこでさまざまなご縁が生まれています。
こちらは茶話会の時の写真ですが、他にも、お寺でカフェやサロンをされているところもあったり、ヨガの会や音楽会をしているようなところもあります。そうして人が集まり、ワイワイするような、人が集まる場としての要素が、日本のお寺にはあります。
◆信行寺での取り組み
この信行寺でも、色々な取り組みをしています。例えば、お盆やお彼岸には、法要という行事をしています。皆さんとお経をとなえて、仏教を分かりやすくお伝えしています。
また、月に一回、日曜日の朝には朝参りをおこなっています。一日のはじめ、1ヶ月のはじめを、お寺から清々しくスタートしようとする取り組みです。
皆さんとお経をとなえて、ストレッチをして、短い法話をしています。
他にも子ども会をおこなっていまして、夏はお泊まり会、冬は餅つきなどもしています。
このように、お寺に来て、楽しんでいただいたり、心も身体もすっきりしていただく。そういう場を信行寺ではつくっています。
お話は以上になります。少しでもお寺を身近に感じていただけるようなご縁となったのであれば幸いです。
合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
南無阿弥陀仏