「ご縁を喜んでいただけるお寺を目指して」というテーマで、信行寺の取り組みについて、何回かにわたりご紹介をさせていただいております。

前回まで、

お寺を取り巻く環境は大きく変化していること。
・その中で信行寺では、「ご縁を喜んでいただけるお寺でありたい」という理念のもと、改革改善に取り組んでいること。
・特に、「仏教」「仏事」「寺院運営」という「三つの柱」を中心に据えて活動をしていること。

そして前回までに、「仏事」と「仏教」の取り組みについて、ご紹介をいたしました。

今回は、「寺院運営」の取り組みについて、ご紹介をさせていただきます。

現代のお寺はどのような状況にあり、どのようなことがおこなわれているのか。

そうしたことを知っていただく、一つのきっかけになれば嬉しく思います。

また、どんなご感想をもたれたかなども、ぜひお聞かせいただけると嬉しいです。

▼こちらの内容は動画でもご覧いただけます

◆寺院運営の取り組み

さて、信行寺の「三つの柱」の一つである「寺院運営」について、その取り組みをご紹介いたします。

日本のお寺において、寺院運営も日々の活動の中で大きな割合をしめています。

例えば、お寺の伽藍(建物)の維持や、総代会や婦人会などの組織運営来客対応や電話対応日々の清掃など、様々な業務があります。

これらが滞ってしまうと、お寺としての機能が十分に果たせなくなり、ご縁のある方々にもご不便をおかけすることになります。

ですので、信行寺では「寺院運営」を「三つの柱」の一つとして位置づけ、よりよい寺院運営を目指して、日々、改革と改善に取り組んでいます。

◆組織体制づくり

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信行寺では「寺院運営」の取り組みとして、「組織体制づくり」をおこなっています。

通称檀家寺と言われる日本のお寺は、家族で運営されているケースが多いです。

そのため、「組織として意思決定や運営をおこなう体制が整いづらい」という点は、宗派を問わず、共通の課題ではないかと思います。

その結果として、例えば次のような問題が起こりやすくなります。

情報共有が十分に行われず、電話対応やご相談の際に困ることがある。また、大切なことが次世代に継承されにくい

住職や一部の人に意思決定が集中しやすく、他の人が関わりにくい。結果として、組織としての改善意識が弱まり、時代や求めとずれていく

理念や方針が明文化されていないため、中長期的に取り組むべきことが後回しになる。日々の業務に追われがちになる。

勤務時間や休みが曖昧で、働くモチベーションが低下してしまう。結果として、持続的な運営や後継ぎにも影響が出てくる。

もちろん、すべてのお寺がそうではありませんが、家族経営の組織には、多かれ少なかれ似た課題があるのではないかと思います。

こうした、「組織としての体制が整っていないこと」から生じる課題を解決するために、信行寺では抜本的に「組織体制づくり」に取り組んでいます。

いくつか取り組みをおこなっていますが、今回はその中でも、「朝会議と未来会議」について、簡単にご紹介します。

◆朝会議と未来会議

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「組織体制づくり」の一環として、信行寺では、「朝会議」と「未来会議」をおこなっています。

まず「朝会議」ですが、信行寺では毎朝、お参りと掃除をした後に、短時間の会議をおこなっています。

そこで、その日の予定の確認や、前日にあったご相談の内容などを、寺族全員で共有しています。

どなたからご連絡があっても、誰でもスムーズに対応できる体制を整える上で、「朝会議」は大切な時間となっています。

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また、信行寺では、「未来会議」という名の「寺院運営会議」を、5年ほど前の2021年からおこなっています。

住職・坊守である父母と、若院・若坊守である私たち夫婦が、時間を取り、信行寺の現在や未来について話し合っています。

お寺は、親夫婦と子ども夫婦で運営をされているケースも多いです。

親世代が築いてきたものを若い世代が受け継ぎ、時代に合わせてさらに維持・発展させていく

それができれば理想的ですが、そのためには、世代間で存在する考え方や価値観の違いをすり合わせていく必要があります。

お寺に従事する全員が、共通の価値観や課題意識を持って取り組んでいく

そのような組織をつくることが、寺院運営において重要だと考えていました。

それを実現するため、「未来会議」の場を設けました。

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「未来会議」では、抽象的な議論にとどまらず、「納骨堂の建設計画」や「法要の改善」など、具体的で重要度の高い案件について話し合っています。

話し合いの中で、お互いの考え方の違いが浮き彫りになることもあります。

しかし、対話を重ねることで、「なぜそう考えるのか」を互いに理解し合い、少しずつすり合わせていきます。

簡単な作業ではありませんが、「未来会議」を続けてきたことで、一つひとつの改革や改善を、着実に進められるようになりました。

また、個々がバラバラに動くのではなく、組織として取り組んでいくという意識も、少しずつ育ってきていると感じています。

こうした積み重ねが、今後人を雇用していく場合や、次の世代へ引き継いでいく際にも、大きな強みになると考えています。

◆シフト制と休務日の導入

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また、信行寺では、「シフト制」と「休務日」を導入しています。

お寺は、365日休みなしというのも珍しくありません

信行寺も同様で、私が戻った10年数年前は、両親が休みという感覚を持たずに働いている状況に驚きました。

お寺は、急な来客やご葬儀などもあり、確かに休みが取りづらく、オンとオフの切り替えが難しい環境にあります。

しかし、長期にわたり休みなく働き続けることは、身体的にも精神的にも大きな負担となります。

そこで、まず取り組んだのが、「シフト制の導入」です。

私たち夫婦がお寺に入り、父母とあわせて4人体制になったことで、交互に休みを取ることが可能になりました。

シフト制を導入し、少しずつ休みを取り、メリハリをつけて働く意識や環境を整備しました。

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また、2024年から「休務日」を導入しました。

現在は、第2・第4火曜日を信行寺の休務日としています。

もちろん、お通夜やご葬儀がある場合は、お参りをいたしますが、それ以外の来客やご法事などについては、休務日以外の日程でお願いをしています。

これも、働きやすい環境を整えるための取り組みです。

働き方改革が進む現代においては、ご理解をいただきやすい面もありますが、門信徒の方々にもご理解をいただきながら進めています。

休務日を設けたことで、4人同時に休みを取ることができるため、シフトの調整がしやすくなります。

メリハリをつけて、長期間働きやすい環境を整えることで、持続可能なお寺の運営につなげていきたいと考えています。

今後、次の世代へとお寺を引き継いでいく上でも、こうした働きやすい環境を整えておくことは、大切なことではないかと考えています。

もちろん、仏道においては休みはないのですが、日本のお寺は業務もかなりの割合をしめておりますので、業務においては休みを取るという意識でおこなっています。

◆広報活動

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「寺院運営」の取り組みとして、最後に「広報活動」についてご紹介いたします。

信行寺では、いくつかの形で広報活動を行っています。

一つは、「信行寺だより」という寺報(じほう)を発行しています。

今後の行事案内やアフターレポート門信徒紹介一口法話仏事作法の解説など、さまざまな内容を掲載しています。

「信行寺だより」を通じて、お寺での取り組みに関心を持っていただき、お参りのご縁につながればという思いで発行しています。

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また、お寺は門信徒の方々から護持費をお預かりしています。

そのため、

「お寺でどのような活動をおこなっているのか」
「護持費がどのように活用されているのか」

こうしたことをお伝えしていくことも大切なことだと考えています。

寺報を発行するようになってからは、「お寺でどんなことがおこなわれているのか、よく分かるようになりました」というお声をいただくようになりました。

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また、信行寺では「Youtube」にも力を入れています。

「仏事作法の解説」や「法話」「読経」などの動画を配信しています。

例えば「仏事作法の解説」の動画では、「お仏壇のお飾りの仕方」「お供え物の仕方」など、ご門徒やご遺族の疑問に答えるような内容を心がけています。

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現代は、核家族や単身世帯が多く、家庭内でお寺のことや仏事について伝わりにくくなっています。

その結果、ご遺族が「何をすればよいのか分からない」という状況が生まれています。

そのような疑問や不安が少しでも解消されるように、動画でも発信しています。

お経をご一緒にとなえていただける動画や、お経のとなえ方や意味を解説する動画なども配信しています。

「毎朝、動画に合わせてお経をとなえています」というお声を全国からいただいたり、ご法事の際に「YouTubeを見ています」とお声がけいただくこともよくあります。

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さらに、SNSやホームページも活用しながら発信も行っています。

こうした広報活動を通じて、これまでお寺とご縁のなかった方とも、新たなご縁をいただく機会が増えています。

実際に、ホームページやYouTubeをご覧になった方から、ご葬儀のご依頼や納骨堂へのご加入や、お寺の行事などへの参加、参拝につながるケースもあります。

こうして信行寺のことを知ったうえで、「お世話になりたい」「お参りをしたい」と言ってきてくださる方は、熱心な方が多く、よくお寺にもお参りもしてくださいます。

そのようなご縁が広がっていくことは、私たちにとっても、とても嬉しいことです。

現在、信行寺のYoutubeチャンネルは、約12,000名の方にご登録いただいています。(2026年6月現在)

広報活動に力を入れることで、ご縁の深まりとともに、ご縁の広がりも感じています。

信行寺のYoutube「寺子屋チャンネル」ですので、よろしければご覧になってみてください。

▼Youtube「信行寺 寺子屋チャンネル」

https://www.youtube.com/@shingyoji/

◆最後に

いかがだったでしょうか。

信行寺では「ご縁を喜んでいただけるお寺」を目指し、「三つの柱」を中心据えて、お寺の改革と改善に取り組んでいます。

その中でも今回は、「寺院運営」の取り組みについて、ご紹介させていただきました。

それぞれのお寺で、様々な取り組みをされていることと思います。

信行寺でも、ご縁を喜んでいただけるようにと、ご縁のある方々のお顔を思い浮かべながら、日々取り組んでいます。

私は、お寺での活動でどうしようかと考える時には、身近におられる方々のお声を直接伺うようにしています。

・現代に、お寺はどのようなことが求められているのか。
・どのようなお寺であると喜ばれるのか。

そうしたことを、直接お声を伺いながら考え、一つずつ形にしています。

このように、直接ご縁がある方々にお話を伺えるような関係性を育みやすいということが、お寺の特徴でもあるかと思います。

そして、こちらをご覧の皆様のように、お寺に関心をもったり、身近にいてくださる方々の存在が、とても大きな支えとなっています。

お寺を応援してくださる方々がいることは、お寺にとってこれ以上ない財産です。

もちろん、お寺が誤った方向に進んでいると感じられる場合には、率直にお声をいただくことも大切だと思います。

そのうえで、お寺の取り組みに共感していただける部分があれば、ぜひ応援していただけると、頑張っているお寺の方にとって、とても励みになることと思います。

今回の話をきっかけとして、お寺のことをさらに身近に感じていただけますと嬉しいです。

また、お仕事をされている方は、ご自身の企業や業界のこととも照らし合わせなながら、振り返るような機会にしていただけますと幸いです。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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