【仏教に学ぶ】シリーズでは、身近な疑問や悩み事を、仏教に学んでみたいと思います。

今回は、「不安を和らげる方法」について考えてみます。

こういう悩みをお持ちの方も、おられるのではないでしょうか。

・不安が頭から離れない。
・不安があって仕事が手につかない。
・不安から行動を躊躇してしまう。

お寺や僧侶という立場上、私も色々な方のお話を伺う機会がありますけれども、こうした不安を抱えていらっしゃる方もおられます。

そこで今回は、「不安を和らげる方法」を、仏教に学んでみたいと思います。

「不安を和らげる方法」として、今回は

・不安の原因を知る
・今あるものに目を向ける

という内容でお話したいと思います。

このお話が、少しでも不安が和らいで、日々を心豊かに生きるご縁となれば幸いです。それでは見ていきましょう。

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◆不安の原因を知る

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「不安を和らげる方法」の一つ目は、「不安の原因を知る」ことです。

私たちが不安を感じている時は、不安の原因がはっきりしていればいいのですが、そうではない時もありますよね。

自分が何に不安を感じているのかが分からない。いくつかの不安が重なり合って、より分からなくなってしまう。そういう時もあるのではないでしょうか。

以前、お寺にお越しの方とお話をしていて、次から次に、色々な心配事をおっしゃる方がおられました。お話を伺いながら、不安なことを一つ一つ確認していきました。すると、その方が本当に不安だと感じていることは一つだけでした。

私たちは、自分が何に不安を感じているのかが分からない時があります。ですからまず、自分は何に不安を感じているのだろうかと、不安の原因を知ることが重要です。

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仏教の考え方の基本としているものに、因果の道理があります。

因果とは、原因があるから結果があるというものです。原因がなければ、結果はないということですね。

不安についても同じで、不安の原因があるからこそ、不安という結果となっていると言えます。

つまり、因果の道理から言っても、自分は何に不安を感じているのだろうかと、不安の原因を知ることが重要なのですね。

自分の不安の原因が分からない状態のことを、仏教では無明と言います。

自分はなぜ不安に感じているのかが分からない。なぜ悩んでいるのか、なぜ苦しんでいるのか、それが分からない。こうした自分の不安や悩みや苦しみの原因について無知な状態のことを、無明と言っています。

無明とは、明るく無いと書きますが、文字通り、真っ暗闇の状態です。

自分が何に不安を感じているのかが分かれば、対処のしようもありますが、何に不安を感じているのかが分からない真っ暗闇の状態では、どうしていいのかが分かりません。

まずは、不安の原因を知ること。それによって、対処方法も見えてきます。光がさしてきます。

お金のことで不安を感じているのか。人間関係のことで不安を感じているのか。家族のことで不安を感じているのか。

さまざまな不安の要因があるかと思いますが、自分は何に不安を感じているのだろうかと、不安の原因を知ることがスタートになるかと思います。

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不安の原因を知る時に有効なのが、書き出すことです。

頭の中で漠然と考えていても、自分が何に不安を感じているのかが見えてきません。

自分は何に不安を感じているのだろうかと、不安の原因を一つ一つ書き出してみると、頭の中が整理されてきます。

私もよく書き出す作業をするのですが、不安についても書き出してみると、その内容がはっきりしてきたり、どのことに不安をより感じているかが見えてきます。

不安の原因が見えてくると、それに対してどうすれば良いかという対処方法を考えることができます。

そして、この不安については今考えてもしょうがないなというように、優先順位づけもできます。

悩むことと、思考することとは違うと言われます。

書き出したりして、自分の頭の中を整理して、自分はいったい何に不安を感じているのだろうかと、不安の原因をあきらかにすること。そこから、不安が和らいでいく第一歩が始まると思います。

「不安を和らげる方法」の一つ目は、「不安の原因を知る」ことです。

◆今あるものに目を向ける

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「不安を和らげる方法」で、もう一つお話したいのは、「今あるものに目を向ける」ことです。今あるものに目を向け、大切にするということですね。

逆に言うと、今あるものに目を向けていない、大切にしていないことから、不安が生まれていることがあるということです。

家族のためにと思って、毎日のように夜遅くまで働いていた男性の方がおられました。

しかし、家族のために働いていたつもりが、家族との時間が取れず、家族の心は離れていったと言います。また奥様がご病気になられて、あっという間に亡くなられていきました。

「自分はいったい何のために結婚して、何のために働いてきたのか。家族のためと言いながら、結局は自分のエゴのために働いてきたのではなかったか。何でもっと家族を大切にできなかったのか。今更言っても遅いのですが」。

そのように、その男性は語っておられました。

日々の生活に追われて、また何か大切なものが別にあると思って、私たちは今あるものに目を向けずに、大切にせずに過ごしていることもあるのではないでしょうか。

その男性の生き方が間違っていたかどうかは分かりません。人の生き方を他人がとやかく言うことではないですし、その方なりに精一杯生きてこられたことでしょう。

しかし、その方自身は、自分の生き方が正しかったのだろうかと悩み、自分を責めておられたのでした。

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私たちは、今あるものに目を向けずに、違うところに心や意識を向けて生きていることで、漠然とした不安や根源的な不安がわいてくることがあります。

人生このままで大丈夫だろうか。これまでの人生は正しかったのだろうか。自分は何のために生きているのだろうか。

そうした漠然とした不安や、人生の意味をも考えるような根源的な不安が、ふと頭をもたげてきます。

しかし、日頃から今あるものに目を向け、大切にすることで、心が満たされ、不安が和らいでいくことがあります。

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私たちは、未来を生きているわけでも、過去を生きているわけでも、どこか違う場所に生きているわけでもありません。今ここに生きています。今あるものに目を向け、大切にしてみませんか。

例えば、家族や仕事や健康など。今私を形作っているものを改めて確認しながら、そのことを喜んでみませんか。

今あるものに目を向けて、喜ぶことがなければ、ゴールのないマラソンを走り続けているようなものです。何をしても、何を手に入れても、満足することはなく、不安が止むことはありません。

お釈迦様の言葉に、このような言葉があります。

「足るを知らざるものは富めりといえども貧し。足るを知るものは貧しといえども富めり」

今あるものに目を向け、大切にし、今あるものを喜んでいく。そうすることで、心が満たされていきます。

今ここの大地にしっかりと根を張り、踏みしめながら、生活を営んでいくことで、不安が和らいでいくことがあります。

不安の原因がはっきりしたものは、その不安の解消のために、具体的な対処方法をとると良いでしょう。

しかし、人生このままで大丈夫だろうか。これまでの人生は正しかったのだろうか。自分は何のために生きているのだろうか。

そうした漠然とした不安や、人生の意味をも考えるような根源的な不安が湧いてくる時は、今あるものに目を向け、大切にしてみると良いでしょう。

「不安を和らげる方法」の方法の一つは、「今あるものに目を向ける」ことです。

いかがだったでしょうか。

今回は、【仏教に学ぶ】「不安を和らげる方法」というテーマで、お話致しました。

・不安の原因を知る
・今あるものに目を向ける

そうした内容のお話させていただきました。

また、仏教以外のことですが、不安には運動や睡眠も効果的だと言われます。健康的な生活習慣づくりも心がけながら、今回のお話も参考にしていただればと思います。

少しでも日々を心豊かに生きるご縁となれば幸いです。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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