【一口法話】では、皆様の心が少しでも安らぐようなご縁となればと念じて、仏教のお話をさせていただきます。 今回は、三毒の煩悩である「むさぼり」「いかり」「おろかさ」に流されないというテーマで、お話させていただきます。

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前回の「一口法話」では、「私たちのちかい」の一つ目の文章について、その意味をご一緒に味わいました。和顔愛語という内容でしたね。穏やかな顔と優しい言葉を大切にするという内容でした。

【一口法話】和顔愛語(穏やかな顔と優しい言葉を大切にする) | 信行寺 福岡県糟屋郡にある浄土真宗本願寺派のお寺 (shingyoji.jp)

前回から時間がたちましたが、どのようにお過ごしだったでしょうか。和顔愛語で過ごすことはできたでしょうか。

和顔愛語を日々心がけると、自分の表情や言葉づかいに意識が向くようになります。「いかんいかん、険しい顔になっていたな」とか、「荒っぽい言葉を使ってしまった」というように、自分の表情や言葉づかいに意識が向き、自覚的になります。意識すると違うなと感じた方、おられますかね。

自分の表情や言葉づかいがどのようになっているかを自覚できれば、なおせます。険しい表情をしていると自覚できれば、穏やかな表情を心がけることもできますし、荒っぽい言葉づかいをしていると自覚できれば、優しい言葉づかいを心がけることができます。

ですから、和顔愛語を意識すること、そして、それを習慣にすることが、とても大切なことだと示されているように思います。

この「私たちのちかい」全体を通して言えることですが、「習慣」ということが大きなテーマになっています。つまり、「私たちのちかい」にある内容は、私たちが日々過ごす上で心がけると良いこと、「習慣」にしていくと良いことが記してあると考えると、分かりやすいですし、日々の生活でそれを実践することができます。

さて、今日は「私たちのちかい」の二つ目を見てみましょう。習慣という軸で見てみると、どのようなことが書かれているでしょうか。

一、むさぼり、いかり、おろかさに流されず、しなやかな心と振る舞いを心がけます。心やすらかな仏さまのように。

「私たちのちかい」
https://www.hongwanji.kyoto/know/chikai.html

むさぼり、いかり、おろかさに流されず、しなやかな心と振る舞いを心がける。そのような心がけ、習慣について書かれています。

ここには、むさぼり、いかり、おろかさという言葉が出てきますね。仏法(仏教)に長く触れている方でしたら、この言葉に聞き覚えがあるでしょうか。

むさぼり、いかり、おろかさと3つありますが、この三つで三毒の煩悩と言われます。

煩悩とは、悩み煩いと書きますが、その言葉の通り、私たちの心や身体を悩み煩わせるものです。その煩悩は毒のようなもので、その代表が、むさぼり、いかり、おろかさの三つということで、三毒の煩悩と言われています。

むさぼりという言葉は分かるでしょうか。これは、もっともっと欲しいと思う心です。むさぼりと聞いてどんなことを思い浮かべるでしょうか。どんなことがむさぼりだと思いますか。

例えば、食べすぎとかもそうでしょうね。もうお腹いっぱいなのにも関わらず、つい冷蔵庫をあけて、食べ物を探してしまう。そして食べた後に、食べなければ良かったと後悔するんですよね。むさぼりすぎたとなと反省します。中々、わかっちゃいるけどやめられないものです。

そうしたもっと欲しいと思う心が、むさぼりです。これは、自分の好きなものや欲しいものを近づけ、手に入れたいと思う欲求です。

二つ目のいかりですが、これはその言葉のまま、怒りの心ですね。これは、自分の思い通りにならないことから起こる心で、嫌いなものを遠ざけようとするものです。

むさぼりは、思い通りにしたいとか、好きなものを近づけようとするもので、いかりは、思い通りにならない時にわいてきたり、嫌いなものを遠ざけようとするものです。このどちらも思い通りにしたいという自分本位の思いが中心にあります。この自分本位の思いのことを、仏教ではおろかさと言います。

今回の「私たちのちかい」の二つ目の文章は、こうした自分本位のむさぼりに流されず、自分本位のいかりに流されず、自分本位のおろかさに流されない。そうした自分本位のあり方に流されないように心がけることが、大切ですよという内容です。

そして、自分本位のあり方に流されないこととは、しなやかな心と振る舞いを心がけることにつながります。仏さまのような生き方、あり方とは、むさぼりや、いかり、おろかさに流されない、心安らかなあり方であることが、今回の文章に示されています。

日々の生活の中で、欲に流されない、怒らないことは、中々難しいことです。しかし、それがいかに難しいことかは、意識してはじめて気付かされることです。意識してはじめて、自分がいかに欲に流されていたか、怒っていたか、自分本位に生きていたか、そうしたことに気付かされてきます。

意識しないと自分が自分本位であることに、気付きや自覚も生まれません。そうした気付きや自覚が、大事なことだと仏教では言います。

仏法を聞く、仏法に学ぶということは、人間がつくりかえられていくことだとおっしゃった方がありました。これまで良しとしてきたことが、良いと思えなくなってくる。そして、良いと思う新たな価値基準が自分の中につくられてきます。

人は、習慣によって形づられていくと言います。塵も積もれば山となる。ほんの少しのことでも、それが一日、1ヶ月、一年、一生と続けていくと、大きなものとなっていきます。日々触れているものや習慣が、自分を形づくっていきます。

そう考えると、日々どんなものに触れ、どんなことを習慣として過ごすかは、とても大切なことですね。「私たちのちかい」の言葉を、日々の心がけ、習慣として受けとめ、大事にしながら日々の生活で実践していただけるといいかと思います。

今日からしばらく、自分本位のむさぼりや、いかりに流されていないかなと、意識してみていただければと思います。思ったより難しいなと思われるかもしれませんが、そんな煩悩に流されながら生きる私たちを優しく見まもってくださっているのもまた、阿弥陀仏という仏様です。


合掌
福岡県糟屋郡 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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