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(こちらは、お寺から健康習慣を発信する「ヘルシーテンプル@オンライン」にてお話したものです)

今回は、トランスジェンダーの杉山文野さんを通して、「LGBTQ」について考えます。

LGBTQという名前を聞いたことはあるけれども、詳しくは知らないという方。家族や友人や同僚など、身近にセクシュアルマイノリティの方がいるけれども、あまりよく分からないという方。ご自身が当事者の方や、まだ自分の性について深く理解はできていないけれど、性別の違和感を感じているという方など、色々おられるかと思います。

実はこのたび、杉山文野さんをお招きした講演会、勉強会を開催するご縁をいただきました。それに向けて、私も事前に過去の講演会の動画を拝見したり、著書を拝見したりして学ばせていただく中で、こんなに苦労もされているんだとか、こんな生きづらさを抱えてしまう社会になっているんだと気付かされることが多かったです。

ですので私自身、LGBTQに関して不勉強ではあるのですが、杉山文野さんのお話を通して、LGBTQについてご一緒に考えさせていただければと思います。ただ、LGBTQといっても多様であるので、今回の話はLGBTQを網羅するようなお話ではなくて、杉山文野さんの経験を通したお話をご紹介させていただこうかと思います。

参考にさせていただいたのは、杉山文野さんの講演や、ご著書の『ダブルハッピネス』、『元女子高生、パパになる』などです。

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◆LGBTQとは

まずLGBTQという言葉について、ご存知の方もおられるかとは思いますが、最初に確認しておこうと思います。LGBTQとは、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称として使われる言葉です。

・L(レズビアン)女性として女性が好きな人。
・G(ゲイ)男性として男性が好きな人。
・B(バイセクシュアル)同性も異性も好きな人。
・T(トランスジェンダー)出生時に割り当てられた性と異なる性を自認している人。
・Q(クイア、クエスショニング)規範的な性のあり方に疑問を感じる人や、規範的な性に属さない人など。

これらの頭文字をとって、LGBTQと言われます。ですが、性のあり方はこれだけではなくて、もっと多様であるそうですね。

次に、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)と言われる方がどれくらいおられるかですが、アンケートの取り方によって、数字は一様ではありませんが、3~5%とか、10%程度いるという統計データもあるそうです。ちなみに、電通さんの2020年の調査では、8.9%だそうですね。

以前に、この場でご紹介させていただいた数字ですが、日本人の四大名字、佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さん。その名字の方が、日本の人口のどれくらいいるかというと、おおよそ5%、6%程度だそうです。佐藤さん、鈴木さん、高橋さん、田中さんという名字の当事者や、知り合いがいるという方はほとんどじゃないでしょうか。

セクシュアリティについては、カミングアウトしづらさもあるので、身近にいないように思えるかもしれませんが、四大名字の方と同じか、それ以上に、セクシュアルマイノリティの方はいて、特別なことではないそうですね。そうしたことも、杉山文野さんは講演で語っておられました。

◆心と体とのギャップ

ここからは、文野さんが感じておられたことなどを著書からご紹介したいと思います。

まず、文野さんは、もの心ついた時から、一度も自分のことを女性だと思ったことがないそうですね。体としては、女性として生まれてきたけれども、最初から心は男性であったそうです。幼稚園の入園式の時に、スカートをはくのが嫌で泣いて逃げ回っていたと言います。

そして、トランスジェンダーという、心と体の性が一致していなくて大変なのは、学生生活や社会生活の中で、男女ときっぱりと分けられるようなことがあるのが大変だそうですね。自分の感覚としては男性なのに、女性的な服を着ないといけないとか、トイレに入りづらいとか、水泳の授業の時間は水着を着るのが恥ずかしいとか、スポーツの合宿などでお風呂を一緒に入らないといけないのが苦痛とか。色々と大変だったそうです。

そして、人からどう見られるかだけでなくて、自分自身がこの体に耐えられないとも杉山さんはおっしゃっていました。まるで、女性の体の着ぐるみをきて生活をしているような感覚と書いてありました。自分としては男という認識なのに、自分の体を見ると女性的な体をしている。自分の体と思えないそうです。お風呂の時など、鏡を見るたびに「おまえは誰なんだ」と自分に問いかけていたと言います。

ですから、人からどう見られるかだけでなくて、たとえ無人島にひとりで住んでいても苦しくて、その苦しみから逃れられないそうです。男に変わりたいのではなく、元の体に戻りたいんだと。そういう思いが書かれていました。

◆30歳で死のうと思っていた

そして文野さんは、思春期には、成長すればするほど苦しくなっていったと言います。悩みとは、時間が解決してくれたり、誰かのアドバイスをきっかけに乗り越えたりできることもあるものですが、この悩みは誰にも相談できないし、時間がたち、成長すればするほど苦しくなっていったと言います。そして、文野さんが中学生くらいの時、30歳の誕生日に死のうと思っていたそうです。

自分が将来どうやって生きていったらいいか、未来を描くことができなかったと言います。当時の日本で、LGBTQであることをオープンにして社会生活を送る大人をほとんど目にすることがなかったそうです。つまり、杉山さんにとっての人生のお手本となるような、ロールモデルとなる大人が見当たらなかったから、30歳の時には死のうと思っていたのではないかとご自身で振り返られていました。

身近にモデルになるような、LGBTQであることをオープンにして、その人らしく過ごされている大人がいれば、このように生きていけばいいんだと参考にすることができると思いますが、そういう方が身近にいないので、自分の未来を描くことができなかったんでしょうね。

「本来の自分を殺して生きる」か、それとも「本当に死んでしまう」か。選択肢がそのどちらかしか考えられなかったと言います。

◆カミングアウト

文野さんは、高校生の時、同じ高校の女性とお付き合いをするようになり、その彼女にドキドキしながら初めてカミングアウトしたそうです。

「今まで誰にも言ったことのない自分のすべてをカミングアウトすることになる」「果たしてそれをすべて受け止めてもらえるのだろうか」

そのような葛藤がありつつも、彼女にカミングアウトをして、その彼女が人生で初めて理解者となってくれたそうです。

その後、その彼女とも別れ、気持ち的にかなり追い込まれてしまい、一人で苦しんで、悩みを抱えることができなくなり、高校の他の友だちにもカミングアウトせずにはいられなくなったと言います。仲のいいともだちにカミングアウトした時には、何を語ったか覚えていないほど、号泣したそうです。

ともだちにカミングアウトした時、そのともだちが、「それでやっとわかったよ。今までのモヤモヤがすっきりした。っていうか性別がどうであれ、フミノはフミノじゃん」と言って一緒に泣いてくれたそうです。おかしい人と思われるのではないか。そうした恐怖の瞬間が、感動の瞬間に変わったと言います。

そこから、徐々にともだちにも打ち明けていき、温かい反応を示してくれたことで、今まで全てを否定していた自分に対して、少しずつ自信が持てるようになったそうです。そして、カミングアウトしたことで、ともだちとの距離が近くなり、本音で話し合えるようになったと言います。

「カミングアウトする前の僕の人生なんて、あってなかったようなものである。カミングアウトしたことで、初めて僕はこの世に誕生した」

文野さんは、そのように書いておられました。

いかがだったでしょうか。今日は時間になりましたので、続きはまた次回以降に、宜しければお話させていただこうと思います。

最後に、ウェルビーイング・ダイアログ・カードより、今日の問いです。

「まわりのみんなを理解するために行こなっていることは?」

この後、ご参加の皆様と共に、今日の問いや、今日の話の感想について、チャットにコメントしていただきつつ、対話をしてまいります。

(動画には、ご参加者との対話の部分があります)

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最後までご覧いただきありがとうございます。
合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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