皆さん、こんにちは。僧侶の神崎修生です。

「人生を豊かにする2つのポイント」の後編です。

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結論を言うと、人生を豊かにする2つのポイントは、感謝と恩送りだと思っており、前編では感謝について、今回の後編では恩送りについてお話をさせていただきます。

人生を豊かにするものは色々あるということは前提として、自分が最終的にどうなっていたいかという人生の目的の観点と、生きていて良かったと思えるような人生の深い味わいの観点からみた場合に、感謝と恩送りが、人生を豊かにする重要なポイントとなるというお話をさせていただきたいと思います。

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人生を豊かにする2つのポイント。前編

目次

  1. 多くの方に恩を受けて今がある
  2. 恩返しの難しさ
  3. 恩送りが人生を豊かにする

多くの方に恩を受けて今がある

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今を大切に生きるためには、いくつか答えはあるでしょうが、その一つが恩送りだと思います。

恩送りとは、受けた恩に気付き、恩に感謝し、恩を送っていくことです。具体的には、身近な誰かの喜ぶことをしたり、その人のためになることを考えて、何かをおこなうことです。

言葉を伝えることや、手助けやサポートすること、思いをかけていくことなど、恩送りには色々な方法があるでしょう。


私もそうですが、若くて健康で、ある程度自分の力でできるように感じる時は、人の恩にも気付かなかったり。自分が自分の力で生きているような気になって、感謝もほどほどに生きている時もあります。

しかし、色々な方の存在や出会い、サポートがなければ、今はなかったはずです。

まず、自分がこの世にいのちをいただいたのには、両親、祖父母、ご先祖など、相当に多くの方々の存在があって今があります。

ご先祖の誰か一人でもいなければ自分がいなかった、組み合わせが違っていても、出会うタイミングが違っていても、何か一つでも違っていたら、自分がいなかったと考えると本当に不思議です。

私の母方の祖父は、ビルマに出兵し、200人の部隊に所属し、生きて日本に還ってきたのが2人だけだったと聞いたことがあります。

そこで祖父がいのちを落としていたら、母も生まれていないし、私も存在していなかった。そう考えると不思議に思います。


そして、この世に生を受け、物心がつく前から、色々な方の数え切れないほどのサポートがあって、今があると考えると、恩がないとは言えません。物心がついてからも、色々な方との出会いによって、今の自分が形成されているのは間違いのない事実です。

私の場合も、人生を導いて下さった先生方、学友、寺院関係者の方々やお寺の門信徒の皆さん、以前の職場で出会った方々など、一人一人との出会いによって、今が形成されていると感じます。


家族を始め、相当数の方が、自分に願いをかけ、支えてくださらなかったら今はありません。こうした、自分が存在していること自体が当たり前でないと実感される時にも、感謝と恩返しの思いがわいてきます。

父の日や母の日に何かをしたり、ことあるごとにありがとうと言ったり、身近にできる恩返しはあり、恩返しができる間に恩返しをしていこうとすることは、とても素晴らしいことだと思います。

恩返しの難しさ

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恩返しはできると勿論よいのですが、同時に、恩返しの難しさも感じます。

恩返しが難しいと感じる理由は二つあり、一つは、受けた恩を考えるとあまりに大きくて返せないということです。

私は、僧侶として、年間数十名の方の最後をお見送りさせていただき、年間1,000名を超えるご遺族の方と対話させていただく機会があります。その中で、多くの方の生き死にを間近で見させていただき、教えていただいているように感じます。ご遺族の言葉から、感じるのが、この恩返しの難しさです。

これまで受けた恩の大きさを考えれば考えるほど、あまりに多くて返せないとおっしゃる方は多いです。受けた恩が大きいということは、前述の通りです。


そして、恩返しが難しいと感じるもう一つの理由は、恩返しをしようと思ったころには返す相手がいないということです。

恩の大きさに気付き、恩返しの気持ちがおこった頃には親がいない。恩返しをしたいと思っていたら親が亡くなってしまった。もっと早くから恩返ししておけば良かったと、後悔されている方に多く出会ってきました。

勿論、親以外にも、助けてくれた方、サポートしてくれた方は大勢いて、そのお一人お一人に恩返しをする難しさもありますね。

恩送りが人生を豊かにする

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こうしたことから学び、人生につなげていくことで、人生が豊かになります。

例えば、恩を受けていることを意識することで、多くの恩に気付き、感謝の思いは深くなることでしょう。感謝は人生を豊かにします。

恩に早く気付けば、存命の間に恩返しができる可能性もあります。


そして、恩返しが難しい場合は、恩送りという方法があります。受けた恩に気付き、恩に感謝し、恩を送っていくことです。

子や孫などの次世代に送っていくのも良いでしょうし、友人や、困っている方などへ送っていくことも良いでしょう。


人が喜んで下さることが、自分の生きがいにもなります。

・何のために生まれてきたのか
・何のために生きているのか?

この根本的な問いに対する答えの一つが、恩送りの人生です。

自らがなすことが他者のためになり、他者のためになすことが自分のためにもなる。そうした生き方です。

恩送りに生きることで、仕事にやりがいが生まれたり、家族や周りの人と接する姿勢が変わることがあります。生きる目的が見つかるということは、人生においてとても大切なことです。

私も経験がありますが、生きる目的が見つからず、空しさを感じる時は、生きていてつらいと思うことがあります。生きる目的を見つける一つのアプローチが、恩送りだと思います。


ただ、自分の生き方や意見を押しつけることで、かえって相手を苦しめることがあります。恩送りをする際には、以下のことに気をつけると良いでしょう。

・相手の思いを聞く。
・相手が喜んでくれることは何だろうと想像する。
・相手の将来を思った時に、その将来に何か自分の経験やスキルや人脈が役立つことはあるだろうかと考える。


相手の思いを聞くこと自体が、場合によっては恩送りにもなるかもしれません。
送るというと能動的な感じがしますが、相手を思いを聞くような受動的な恩送りもありえるでしょう。

相手が喜んでくれる、身の回りの人が喜んでくれるために、自分の力やスキルも活かせると嬉しいですし、働く動機にもなりますよね。


また、人から言われた言葉が、時間や人生経験を経て、10年後20年後に響いてくるということもあります。今は理解されないかもしれませんが、あえて伝えておくということも大切な場合があるとも思います。相手の人生にとって大事だと思うことは伝えておこうとすることですね。

これはあくまで、自分の意見の押しつけにならず、相手にとって重荷になりすぎないことが前提になります。相手の人生は代われないですし、背負えないですから、その人が進もうとする道をお手伝いする感覚で恩送りするのが良いと思います。


宜しければ、自分の仕事や日常生活を通して、どう恩送りができるかを考えてみるきっかけにしていただければ幸いです。恩送りは、生涯のライフワークになり、生きがい、働きがいになります。


ただ、あまり相手の思いばかりを優先して、自分の思いを大切にしなかったら、自分が苦しくなります。自分を大切にしつつ、自分のできることが、相手のためになり、相手のためになることが、自分のためにもなるようなことを探していけると良いですね。


ちなみに、私自身の恩送りは、仏教の考え方や生き方の智慧を、生活に活用していただけるように工夫し、その場をつくっていくことです。インターネット上のお寺「オンライン寺院 信行寺」がその一つの取り組みです。

仏教やお寺に人として育てられたことへの感謝と、生涯の恩送りだと思って取り組ませていただいています。

それも、色々な方に応援していただき、支えていただいているからこそです。その恩に感謝しつつ、できることを少しずつさせていただこうと思っています。


今回は、「人生を豊かにする2つのポイント」として、感謝と恩送りが人生を豊かにすることをお話させていただきました。

皆さんの恩送りの取り組みも、是非お聞かせください。

最後まで、お読みいただき、ありがとうございます。

合掌


浄土真宗本願寺派 教證山信行寺

神崎修生

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