この内容は、2021年3月17日におこなわれたお寺のオンライン朝会での法話のものです。
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改めて皆様、本日もようこそお参りくださいました。
「ヘルシーテンプル@オンライン」信行寺版、本日もご参加いただきありがとうございます。「幸せを育む法話の時間」ということで、法話を通して、皆様と共に、人生や幸せについて考えさせていただいております。
本日のテーマは、「変化を促す二つの要因ついて」について考えてみたいと思います。我々に変化を促す二つの要因ついて、色々な軸の切り方はありますが、今回は外的な環境要因と、個人的な要因という軸で考えてみます。
ではまず、我々に変化を促すものとして、外的な環境要因について見ていきます。
先日は、東日本大震災より10年でしたが、災害大国と言われるように、日本では過去にも大きな災害を経験しています。
歴史を見てみると、日本で時代が変わるような時には、災害であったり、飢饉であったり、日本を揺るがすような大きな外的な環境要因が影響していたようです。
私も詳しくはないのですが、例を挙げると例えば、明治維新。
明治を迎える前の江戸時代の末期、10年くらいの間に、8回ほどの大地震が日本各地で起きたそうです。
地震などの災害があれば、混乱しますし、復興に必ずお金がかかります。ですから、当時の幕府もお金を使うわけですね。
また、地震だけでなく、飢饉もあったようです。さらにそこに来たのが、ペリー率いる黒船来航です。幕末の時代は、地震や飢饉などの状況下の中で、黒船も来航していたのですね。
まさに激動の中、倒幕の機運が高まっていき、明治維新、文明開化へとつながっていきます。
時代の移り変わる時には、世のうねりや、様々な変化が起こると言われますが、むしろ、大きな外的環境要因に突き動かされるように、時代が変わっていくのかもしれません。
時代をさかのぼりますが、江戸時代になる直前の戦国時代末期にも、大地震が数回おこったと言われます。
秀吉がいた伏見城も天守が大破したと伝わっています。その地震の時は、1週間の間に、日本各地で数回の大地震があったと言われています。
歴史にたらればはありませんが、その大地震がなければ、その後の徳川政権もなかったかもしれないと言われるほど、その影響はあったのではないかということです。
このように、時代が変わるような時には、災害であったり、飢饉であったり、日本を揺るがすような大きな外的な環境要因があったということが、歴史上から見えてきます。
変わらざるを得ないような大きな外的環境要因によって、時代が動いていく、変化していくということが歴史から見えてきます。
大きな出来事でいうと、今回の新型コロナウイルスの流行もそうです。
この1年近くにわたり、人と会うことや、移動することなどが大きく制限されました。それによって、否応なく変化しなくてはならない状況になっています。
マスクや、手洗い・消毒の日常化、リモートでの在宅ワークや、家庭での生活・食事など、様々な変化がおこり、新たなあり方、新たな価値観が生まれてきています。
あまり困っていなければ、我々は変化する必要性を感じないかもしれません。
例えば、コロナ禍以前から、仕事や教育におけるリモートの推奨はされていたそうですが、中々変化しなかったといいます。現場が困っていない、必要性を感じていないのであれば、変化し普及させることは中々難しいものです。
しかし、今回の新型コロナウイルスによって、否応なく変化せざるを得ないという状況になり、変化していることも多いでしょう。こうした変化によって、今までの当たり前や常識が問い直され、新しいあり方、新たな価値観が創られていくこともあります。
このオンラインの朝会も、おそらくコロナ禍がなければ、おこなっていないですし、このように頻繁に皆さんと接するご縁もなかったかもしれません。変化によって失われていくものもあれば、また新たに生まれてくるものもありますね。
しかし、こうした外的な環境要因によって、立ち直れないほどの苦痛を抱えていらっしゃる方がおられることも、忘れてはいけないことです。あの日に戻れるのであれば、戻りたいという切実な思いを持つ方は多いはずです。こうした話の時は、そのことを忘れないようにしないといけないと思います。
さて、我々に変化を促すものとして、外的な環境要因だけでなく、個人的な要因によっても、変わっていかざるを得ないこともあります。
例えば、仏教で老病死と言われるような要因です。
老病死とは、我々が老いてゆき、病になり、亡くなっていくことを言います。必ずしも、病になり亡くなるわけではありませんが、老病死もまた、人類が経験してきたことです。
老病死という現実に直面する時に、否が応でも変化していかないといけないこともあります。
老病死の現実に直面する時には、辛さや悲しさ、寂しさといった感情を伴うことが多いことでしょう。一方で、人生の大切なものに気付かされたり、日々を大切に生きていくことにつながることがあります。
病気がきっかけで、食生活を見直したり、仕事や家族のあり方を見直すこともあるでしょう。
先日お話した方は、祖母との死別を経験し、これまでの仕事を辞めて、実家へと戻り、親元で新たな仕事を始められたそうです。親のことや、生き方のこと、何か感じることがあられ、人生の転機とされたようでした。
望まないことも多いですが、個人的な要因によって変化を促され、そこから人生が変わっていくことがあります。人生の大切なものに気付かされたり、日々を大切に生きていくことにつながっていくことがあります。
最後にまとめます。
今現在、世界中が新型コロナウイルスによって、変化の真っただ中にあります。その中で、今までの常識が問い直され、新しいあり方、価値観が創られていくこともあるでしょう。
また、老病死などの個人的な状況の変化によっても、我々は変わらざるを得ないこともあります。しかし、その中で、本質的なこと、大切なものへの気付きや、日々を大切に生きるきっかけとなることがあります。
さて、今日の問いです。
現在の新型コロナウイルスの中で、ご自身や身の回りのものはどう変化したでしょうか。
そして、老病死について、今何か思うことはあるでしょうか。
この後、ご参加の皆様と共に、対話をしてまいりたいと思います。
幸せを育む法話の時間ということで、本日は「変化を促す二つの要因」というテーマで、外的な環境要因と、個人的な要因について考えてみました。
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最後までご覧いただきありがとうございます。
合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生
▼仏教ひとくち法話シリーズ
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