遺品整理の現場から感じること。【勉強会レポート】

皆さん、こんにちは。僧侶の神崎修生です。(浄土真宗本願寺派 信行寺)

我々が運営している寺院関係者のオンラインサロン「bラーニング」では、定期的にオンラインでの勉強会を開催しています。

このたびは、株式会社友心 代表取締役で遺品整理士の岩橋ひろしさんを講師にお迎えして、「遺品整理の現場から ~家族やお寺の存在を考える~」というテーマで、勉強会を開催いたしました。

今回は、その勉強会のレポートさせていただきます。

▼動画・音声でもご覧いただけます

岩橋さんからは、遺品整理の現場の様子や、そこから感じる孤立、孤独、家族や近隣の関係性の希薄さなどの状況、また、日常の声の掛け合いや、思いやりなど、ささいなことでも状況が変わる可能性があることなどを、熱い想いとともに教えていただきました。

孤独で亡くなっていかれ、どなたにも気付かれず、数日後に異臭により発見されるような悲しい状況から、岩橋さんは家族のつながりや近隣の方とのつながりの希薄化を感じることが多くあるとのことでした。


勉強会の冒頭、岩橋さんから、「離れた家族と最後に連絡をとったのはいつでしょうか?」という問いがありました。

日本では、年間4万6千人が孤立死をされており、死亡者総数の30人に1人が孤立死という状況だそうです。自死よりも孤立死のほうが多い状況です。


岩橋さんのお話から、ご参加者それぞれが、自身の生き方や周囲の方との関係性のあり方を考え直すとともに、寺院関係者向けの勉強会ということもあり、自身の僧侶としての活動や、お寺での取り組みなどに紐付けて感じられることが多かったのではないかと思います。


例えば、月忌参りの意義や、ご法事での家族・親族間の関係性の再構築、お寺での終活的な取り組み(特に心の面や自分らしい生き方、家族間の関係性の部分)など、日常のお寺とのご縁の中でできること、さらに意義を深めていける可能性も多くあることを感じられたように思います。


また、僧侶はご葬儀などでお参りをさせていただくことが多いとはいえ、孤立死の現場に立ち会うこと自体は少なく、岩橋さんの経験から発せられる言葉は、とても重みがあり、大切なことを教えていただいたと感じました。


講師をお勤めいただいた岩橋ひろしさん、ご参加いただいた皆様、ご縁をいただいた小林信翠さん。今回も素晴らしい学びのご縁をいただきまして、ありがとうございました。


さらに詳しい勉強会の内容は、以下に記しております。とても感じることの多い内容でしたので、是非ご覧くださいませ。


寺院関係者のオンラインサロン「bラーニング」では、これからも、お寺が担っている役割の周辺領域の専門家の方を講師にお招きして、勉強会を開催していく予定です。

次回は、2020年7月12日(日)19時30分から、石材店の榊原亮さんを講師にお招きして、「お墓を通して考える 弔いと対話の大切さ」というテーマでお話をいただきます。

寺院関係者向けの勉強会ですが、それ以外の方もご参加いただけます。是非ご参加くださいませ。(近日発表致します)

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目次

  1. 勉強会の内容

勉強会の内容

2020.06.16_遺品整理の現場から(岩橋ひろし氏)

・遺品整理の現場の様子から、亡くなられた方が、明日も今日と変わらない一日が来ると思って生活をされていたことが感じられることがある。いつかは亡くなるかもしれないとは思っていても、それがまさか今日が最後になるとは思っていなかった様子(日常の生活の途中)が、現場から感じられる。


・亡くなられてから数日間や一ヶ月間など、どなたからも気付かれず、臭いで発見されることがある。その現場での臭いは凄く、うじやハエなども多くわいているので、防護服などを着用して遺品整理にあたる。ご遺体が腐敗したり、亡くなられた場所に体液などが漏れ出し、黒くなっている場合もある。


・亡くなられた方も、そういう最後のために、一生懸命生きてこられたわけではないはずと、無念の思いを感じる時がある。


・孤立死された方の遺品整理を、遠方に住むお子様から依頼される場合もある。ご依頼者の中には、「最後に迷惑をかけられました。もう親が住んでいた家には行くこともありませんし、中のものは全部いりません。捨てて下さい」と言われる方も多くある。


・しかし、亡くなられた方が、寂しい思いをしながらも、お一人で毎日を精一杯生きながら、時にはお子さんに連絡をしたいと思い、時にはお孫さんと一緒に食事がしたいと願って生きておられたかもしれない。部屋にある想い出の品から、そうしたことを感じることもある。


・亡くなられた方の想いを、岩橋さんは何とかご遺族に届けたいと、たとえ全て捨ててくれと言われたとしても、遺品はゴミではなく、その中から写真や手紙などの想いのこもったものを探して、その想いが何とか届いてほしいと、お渡しすることもある。


・ご遺族が「いるものは全部取りましたので、あとは全部捨てて下さい」と言われていても、家族の関係が深くなるような想い出の品が、遺品の中にまだ多くのこっていることもある。


・ある時、孤立死された男性の部屋を、娘様の依頼を受け整理していた時のこと。あとは全て捨ててくださいと言われたが、部屋にあった枕を確認してみたら、枕の綿の中から、亡くなられた方のメモ書きがでてきた。「この枕は、妻(男性の妻、依頼者の母)が、17年前に亡くなった時に闘病生活で使っていた枕だから、永久保存したい」と、メモに書かれていたとのこと。

最初、娘様が依頼された際、「父がこんなにもたくさんモノを遺していたので、迷惑をかけられました」というようなニュアンスのことをおっしゃって依頼をされた。しかし、そのお父様のメモと、お母様が使われていた枕をお渡しすると、その娘様は泣き崩れた。

「あの厳格な父が、母に対して、こんなにも温かい想いがあったことを初めて知りました。なんで、母が生きている間に、私たちの前で母に対しての優しい気持ちや言葉を見せてくれなかったのだろう。ただ怖い父だとおもっていましたが、こんなに母に対して優しい想いがあったなんて。でも、見つけてくれてありがとうございました」とおっしゃった。

お父様が生きている間には、ありがとうと直接言えなかったかもしれないが、メモからお父様の想いに触れたことで、お墓参りの気持ちや、墓前でかける言葉が変わってくると思う。


・たとえ、ご依頼者が「全て捨ててもいい」とおっしゃられても、部屋の中のものは、ゴミではなく、大切なものとして、亡くなられた方が見ておられると思って、丁寧に扱う。依頼される理由があって、遺品整理士の我々に依頼され、何かそこに意味を感じるからこそ、一つ一つ見落とさないように、丁寧に遺品を整理する。


・家財道具の扱いに関して、家財道具を処分すると、ご依頼者の金銭的な負担も増え、焼却すると地球環境の破壊にもつながる。そのため、リユースしたり、国内で流通できないものは、親日の国で必要とされるところなどに届け、再使用も促進している。(遺品整理業は、本来廃棄物処分はできないが、友心は日本で初めて認可を受けた)


・自分らしくをテーマに、人生の最後をデザインすることも重要。エンディングノートや、死後事務委任契約、遺言書の作成など、確実な手段で事前準備をしておくことも重要。


・生前整理というと重い腰があがらないが、人生を振り返る想い出の整理でもある。自分が生きてきた証と、自身の想いをきちんと遺すことは大事なこと。そして、大切な人と会う時間をたくさんつくっていただきたい。


・「想いを大切に。故人の想いと遺された側の想いを繋ぐ架け橋であれ」という企業理念のもと、友心では遺品整理やそれに親和性の高い領域の仕事に取り組んでいる。終活の一環として、高齢の方の今を動画で遺すという取り組みもおこなっている。

昔を思い出すと、気持ちが良い方に変わる方もおられる。年齢を理由にあきらめていたものが、昔を思い出してもう一回やってみようかと前向きになる方もおられる。イキイキと自分らしく日々を過ごしていくことはとても大事なこと。


・一日一生。人間いつ何がおこるか分からない。今日という一日が、もしかしたら明日来ないかもしれない。もし今日が最後だと分かっていたら、大切な人と会い、伝えたいメッセージを遺すと思う。

でも最後の終わりが見えないから、惰性で生きてしまう。惰性で生きて後悔しているご家族もいっぱいおられる。だからこそ、一日一生。一日を一生ととらえて生きるところに、自分らしい生き方が見えてくると思う。

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全ての内容は記していませんが、勉強会で岩橋さんがお話をされた内容や想いが少しでも伝わればと思ってレポートしました。

岩橋さんは、講演会などでも登壇をしておられます。お寺での講演や、宗派での研修会でもお話をされたこともあるそうです。例えば、お檀家(ご門徒)さんを対象に、終活の一環としてお寺でお話をいただいたりすると、大切なことを考えるすごく良い機会になりそうだとも思いました。(ご関心がある方は、株式会社友心(ゆうしん)まで、ご相談なさってみてください)


いつもは90分程度でお話をされるそうですが、今回はオンラインということもあり、半分程度の時間でお話をいただきました。それでも感じることや学びが多くありました。改めて、ありがとうございました。


読者の皆様、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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合掌

浄土真宗本願寺派 教證山信行寺

神崎修生

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