【仏教ひとくち法話】#008 感謝の心を育む秘訣

こちらは、お寺の朝会「ヘルシーテンプル@オンライン」にてお話した法話を文字起こししたものです。

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ヘルシーテンプル@オンラインの全国版。本日も150名近くの方がご参加いただいております。いつもありがとうございます。

ここからは、幸せを育む法話の時間ということで、ご参加の皆様と人生や幸せについて考えてみたいと思います。ウェルビーイング・ダイアログカードより、今日の問いはこちらです。

【今日の問い】
あらゆる物事に感謝するための秘訣は?

本日は、この問いについて、ご一緒に考えてみたいと思います。まず私の方から少しをお話をさせていただき、後ほど皆様とチャットで対話してまいります。

先日、とある信行寺のご門徒さまが亡くなられたのですが、その時のことがとても印象的で、ありがたいなと思ったことがあったので、そのお話をさせていただきます。

お亡くなりになられたのは70代の男性で、私が勤める信行寺ともご縁が深く、代々お寺とご縁があられる家系の方でした。喪主である奥様も、信行寺とご縁が深く、ずっとお寺に通われ、仏様のお話を聞いてこられた方です。

先日、その男性の方の臨終勤行(りんじゅうごんぎょう/通称枕経)、お通夜、ご葬儀、七日毎の中陰(ちゅういん)参りと営まれました。我々僧侶は、こうしたお参りの中で、色々な思い出話や、ご遺族の今の想いなどを聞かせていただくことがあります。

今回亡くなられた男性は、ご病気がちではあられたのですが、それでも急に亡くなられたとのことでした。急に身近な方を亡くすと、ご遺族は動揺しておられる場合が多いのですが、ただその奥様は、夫に先立たれた中でも、どこか受け容れておられるご様子でした。

何度か奥様のお話を伺ってみるうちに、なぜかが段々と分かってきました。奥様がおっしゃるには、こういうことでした。

・私は、お寺とご縁をいただいて、阿弥陀様という仏様に包まれていく安心感や、お浄土という国の安らかさなどを、折にふれ聞かせていただく機会に恵まれました。
・そして、いつ亡くなるか分からない、いつ別れていくか分からないいのちを生きているということも伺ってきました。
・歳を重ねる中で、そうしたことが本当にそうだなあと、実感として感じられるようになってきました。

・このたび夫が亡くなりましたが、夫は今、阿弥陀様(仏様)に抱かれて、仏様の国、お浄土へ往ったと受けとめています。
・そして、先に往かれたご先祖様のもとへ還っていったんだと思えています。
・このように受けとめることができる仏縁をいただいて、本当に感謝しています。

奥様は、このようなことをお聞かせくださいました。

このヘルシーテンプルの全国版は、様々な宗派のお檀家さんや、お寺とのご縁がない方もご参加いただいているかと思いますので、考え方は様々だろうと思います。今回のお話は、こういうふうに現実をうけとめていく方もおられるのだなというように、お一人の事例としてお聞きいただければ幸いです。

その奥様は、続いてこのようにもおっしゃいました。

・今では、お仏壇の前に座り、仏様に手を合わせる時の心持ちが、昔とは全然違ったものになりました。喜びや感謝の気持ちがわいてきて、涙が溢れてきます。
・仏様、ご先祖さまが、みまもってくださっているんだと思うと、穏やかで安らかな気持ちになります。

私は、身近な方との死別という人生の一大事において、奥様がこのような安心感の中、現実を受けとめておられることに対して、驚きの思いと、すごくありがたい気持ちになりました。

その奥様は、このところ、旦那さんや息子さん、娘さんと、とても心豊かな時間を過ごされていたようでした。そして、旦那さんや息子さん、娘さん、親戚の方にも、心からの感謝をされているご様子でした。

奥様は、「いつも息子や娘にありがとうねとお礼を言うんです」とおっしゃっていました。「この子たちや、夫の兄弟がいるおかげで、私は安心して過ごせています」と感謝をされていました。

家族間や親戚間の関係は、うまくいくものばかりではないかと思いますし、密接にお付き合いすることばかりがいいとも思いませんが、ありがとうやおかげさまの気持ちによって、良き人間関係も育まれていくのだなあと感じました。

おそらく、この奥様のありがとうやおかげさまの思いは、人生経験や仏様のお話を聞く中で、育まれてきたのではないかと思われます。しきりに、「仏縁をいただいたことに感謝です」とおっしゃってくださり、こちらこそありがたいことだと思いました。

仏様のお話を聞くといった仏縁の機会によって、人生について、生き方について、周囲との関係性について考えるきっかけになるだろうと思います。そして、人生経験と相まって、豊かな受けとめ方が育まれ、周りの人や環境にも恵まれて、こうした安心と感謝の思いがわいてきているように思われました。

我々はついつい、当たり前に日々があるものと生きてしまいがちですし、また周りの方の支えも当たり前なものとして、感謝を忘れてしまいがちです。

日々が当たり前ではないこと、周りの支えも当たり前ではないことを思いつつ生きていくことで、感謝の心が育まれ、周囲の方々との非常に豊かな時間を過ごすことにつながってくるのだと感じました。そして、別れの時にさえ、豊かに受けとめていけることがあるのだと、今回の出来事の中で感じさせていただいたことでした。

そしてまた、当たり前が当たり前ではないことを確認できるような機会を持っておくことの大切さも実感致しました。

この奥様にとっては、仏様の教えを聞く仏縁の機会と人生経験が縁となって、感謝の心が育まれ、人生の味わいが豊かに感じられるようになられたように思われます。我々にとっては、このヘルシーテンプルがまさにそのような機会になるように思います。

とはいえ、何か思い通りにならないことが起これば怒り、病気になれば心細く不安な思いになることもあるかと思います。ただし、人生や幸せについて考えさせていただく機会があることで、思い通りにならない一切皆苦(いっさいかいく)の人生の中にも、その意味を受け取る心が育まれ、人生が豊かに感じられていく瞬間もきっと恵まれていくことでしょう。

本日、そして今年、ヘルシーテンプルで皆様とご一緒させていただくことができ、嬉しく思います。最後に改めて、今日の問いです。

【今日の問い】
あらゆる物事に感謝するための秘訣は?

そして、今日の言葉です。

【今日の言葉】
当たり前が当たり前ではないという思いを持つことで、感謝の心が育まれ、人生が豊かに感じられていく。

2020.12.29_【仏教ひとくち法話】感謝の心を育む秘訣

幸せを育む法話の時間ということで、お話させていただきました。

今年の私の担当は、本日が最後になります。

本年も、どうもありがとうございました。

明日以降もヘルシーテンプルは、年末年始おこなわれていますので、またお時間があられたら、是非ご参加くださいませ。

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最後までご覧いただきありがとうございます。

合掌
福岡県糟屋郡宇美町 信行寺(浄土真宗本願寺派)
神崎修生

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